金融庁は27日、「仮想通貨交換業等に関する研究会」の第2回会合を開催した。金融庁側からは分別管理や利用者保護で問題のあった事例が説明され、参加した委員からは「顧客資産の管理が十分になされていない」とし、より厳しい規制を求める声が出た。
今回の会合では、金融庁の監督部門から仮想通貨交換業からこれまでの検査や行政処分、業界の状況について説明があった。
利用者から預かった金銭を私的に流用していた事例や、自社発行の仮想通貨を自己勘定と社長個人の売買を対当させて価格形成していた事例など、行政処分に至った内容について説明が行われた。
これに対して、出席した委員からは「多額の顧客資産を預かっているにも関わらず、管理体制が不十分だ」と指摘し、より厳格な規制を求める意見が出た。
また資金決済法改正の議論に参加した委員からは「イノベーションを優先して、緩めの登録制にしたにも関わらず、適切な業務が行われていない」とし、現状の規制では不十分ではないかとの意見も出た
また登録業者にも行政処分が行われていることから、参入規制が不十分ではないかとの声もあった。交換業者への自己資本規制の導入など「参入規制を再考する必要もあるのではないか」と指摘する委員もいた。
一方で別の委員からは「改正資金決済法で想定されている認定自主規制団体もまだない状況だ」とし、「今の制度をしっかりと運用することが重要」と早急な規制強化に慎重な姿勢を示す意見もあった。オブザーバーで参加した日本仮想通貨交換業協会の奥山泰全会長は、仮想通貨業界は「オンライン証券やFXなどの黎明期と同じ状況にある」と述べ、「信頼回復に努力する。今後の改善を見守ってもらいたい」と、委員からの厳しい声に応えた。
また金融庁の説明によれば、すでに8社のみなし業者が申請を取り下げている状況だ。現在のみなし業者は16社から8社に減っている。
金融庁では、コインチェックのNEM流出事件を受けた交換業者への検査を実施するにあたり、陣容拡大を行ったこともわかった。金融庁の説明によれば、昨年8月に金融庁内に設立された「仮想通貨モニタリングチーム」は発足当時の30人体制から、現在は人員を倍増した60人体制となっている。
登録業者による新組織「日本仮想通貨交換業協会」は23日に活動をスタートさせている。協会は今後、業界内の自主規制ルールの策定や事務局の体制整備などを進めていく予定だ。