主なポイント:

・バフェット氏による現金積み上げは、過去に株式市場の暴落に先行してきた。
・ナスダック下落はビットコインも巻き込む可能性が高い。

バークシャー・ハサウェイは2025年半ばまでに、現金と米国債を合わせて約3500億ドルを保有した。これは同社にとって過去最高であり、米国公開企業の中でも最大規模だ。

バークシャー・ハサウェイ現金保有推移 出典:CompaniesMarketCap.com

では、過去1年でほぼ倍増し、2025年8月に12万4500ドルの最高値を付けたビットコイン(BTC)にとって、この現金積み上げは何を意味するのだろうか。

株式暴落前に現金比率を高めるバフェット氏

バークシャーの2024〜2025年の現金保有──2025年第1四半期には3477億ドル(株主資本の50.7%、総資産の28〜30%)──は、市場下落への備えを示唆している。

バフェット氏は市場が過熱する局面で繰り返し流動性を高めてきた。言い換えれば、皆が強欲なときに恐怖心を抱いてきた。

1998年、同氏は株式エクスポージャーを減らし、現金を131億ドル(総資産の約23%)に積み上げた。

バークシャーの現金および現金同等物の保有推移 出典:GuruFocus.com

2000年半ばには現金が150億ドル(資産の25%)近くまで増え、その後ドットコム・バブル崩壊後に割安株を買うためポジションを減らした。

その後再び現金を積み増し、2005年第1四半期には461億ドル(株主資本の51%)に達し、当時としては最高水準に至った。

バークシャーの株主資本に対する現金比率推移 出典:GuruFocus.com

2007年にも現金は443億ドル(資産の29%)と高水準を維持し、2008年金融危機直前を迎えた。

過熱するナスダック、ビットコイン下落リスクを増大

現在の株式バリュエーションを踏まえると、バフェット氏の慎重姿勢はより意味を持つ。

マーベリック・エクイティ・リサーチのデータによれば、ナスダックの時価総額は米国M2マネーサプライの176%に達し、ドットコム期の131%を大きく上回っている。

ナスダック時価総額とM2(マネーサプライ)の評価比率(%)のチャート 出典:Maverick Equity Research

米国GDP比でもナスダックは129%と、2000年の70%のほぼ2倍に達している。株価がマネーサプライや実体経済を大幅に上回っていることを示す記録的水準だ。

ビットコインもナスダックと並走しており、直近52週の相関係数は0.73。つまり大半の期間でハイテク株と同方向に動いている。

BTC/USD 週足チャート 出典:TradingView

バフェット氏の過去最高水準の現金保有は、株式と仮想通貨の双方にリスクを示唆する。ビットコインはナスダックと同調しているためだ。

M2拡大でビットコイン上値余地も?

ただし、バフェット氏の現金積み上げとナスダックのリスクがどう作用するかは、最終的にはマネーサプライの成長率に左右される。

米国のM2(流動性の高い現金と預金)は2025年の大半で停滞していたが、7月には前年同月比4.8%増の22.1兆ドルとなり、2022年初以来の速いペースに回復した。年初は約2.4%増にとどまっていたが、加速基調が見られる。

US M2 supply. Source: FRED

世界的には、2025年に20以上の中央銀行が利下げを実施しており、米連邦準備制度理事会(FRB)も追随し、年率10〜12%水準までM2成長を押し上げる可能性があると、エコノミストのダニエル・ラカイェ氏は予測する。

歴史的に、米国当局が株式市場を守るためマネーサプライ拡大を余儀なくされれば、ビットコインは恩恵を受けてきた。

これは2020年以降に起きた現象で、世界的なM2拡大に伴い、ビットコインは3800ドルから6万9000ドルまで上昇した。

ビットコインと世界M2供給 出典:Global Macro Investors

アナリストのCryptoRodo氏は「世界的なM2(マネーサプライ)は歴史的にビットコインに約12週間先行している」と指摘し、こう書いている。

「流動性が再加速するたびに、最終的にBTCはそれに追随する」

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】

ビットコイン価格, Bitcoin Analysis, マーケット, Market analysis