トークンを発行して資金調達をするイニシャル・コイン・オファリング(ICO)をイーサリアムのプラットフォーム以外で行う試みが増えている。仮想通貨イーサリアム(ETH)にとって逆風となるのだろうか?

ブロックチェーン企業でマイニング業も手がけるViabtcは8日、ビットコインキャッシュ(BCH)のプラットフォームを使って2時間ほどで3000万ドル(約34億円)の資金調達をしたと仮想通貨ニュースサイトBitcoin.comが報じたビットコインキャッシュのブロックチェーンを使った最初の大規模なICOだという。

ビットコインキャッシュのICOは、中国の開発者たちにより提案されたワームホールというプロトコルを使う。利用者は、ワームホールによりビットコイン・キャッシュのブロックチェーンの合意ルールを変更することなく、スマートコントラクト機能を実装することができるようになるという。Viabtcは、ワームホールを基盤にしてViabtc Token (VIAT) を発行。マイナーに対して支払われるインセンティブなどに使うことになるという。

また、既報のとおりビットコインのサイドチェーンRootstock(RSK)を通してICOを行う計画もある。11月下旬には、ブロックチェーン技術を活用したサプライチェーンマネジメント事業を行う韓国企業Temcoが、このアイデアとRSKの技術を使って約21億円の獲得を目指すトークンセールを開始する予定だという。

こうした動きはこれまでICOの主流だったイーサリアムの牙城を崩すことになるだろうか。仮想通貨に詳しいeToroのシニアアナリストであるマティ・グリーンスパン氏は、ビットコインICOの動きについてコインテレグラフ日本版のインタビューに答えて、イーサリアム(ETH)にとって逆風にはならないとし、全てのプラットフォームが共存できる可能性を指摘した。

「一部の利用者はビットコインの安定を求める。そのためには高い手数料や取引のために長い時間待つことも苦にしないだろう。一方、他の利用者は他のブロックチェーンがもたらす柔軟性を気にいるかもしれない。イーサリアム(ETH)、カルダノ(ADA)、NEO、EOSが分散型アプリ(dApps)の4大プラットフォームだ。私は全てが共存する世界を簡単に思い描けるよ

グリーンスパン氏は、それぞれのネットワークにはそれぞれの利点がある指摘。ビットコイン(BTC)はみんなが信じるナンバーワンのブロックチェーンでハッシュレートも一番高いため最も安全である一方、他のネットワークは取引時間やプログラミング言語、規制などから優位に立つケースが出るとみている

現在、ICO市場は低迷している。9日には9月のICOによる資金調達額が、今年1月と比べて約90%減少したという調査が出た。また8月にイーサリアム(ETH)が9か月ぶりの安値をつけた背景には、ICO主催者が相次いでトークンを換金しているのではないかと報じられていた