米国中間選挙を前にフェイスブック(Facebook)が11日、詐欺行為などが疑われる559ページ、251アカウントを削除したと発表した。これを受けて中央集権型の管理システムに対してユーザーは、ますます嫌気をさすのではないかという声が仮想通貨とブロックチェーン業界から上がっている。

フェイスブックによると、削除したページとアカウントの多くは、訪問者数を上げる為に複数のフェイクアカウントを作ってコンテンツ配信をなどしていた。また「正当な政治討論会のフォーラムである」と虚偽の広告活動を行ったアカウントもあったという。

フェイスブックは、2016年の大統領選以降、フェイクニュースの温床として非難を浴びている。また先月には、5000万人のユーザー情報がハッキングにあったと発表していて、フェイスブックに対するユーザーのイメージは悪くなっていた。フェイスブックは今回ページとアカウント削除を実行した意図については明らかにしていない。

一方、フェイスブックの発表が仮想通貨業界に追い風という見方も出ている。「ビットコイン伝道師」ロジャー・バー氏がCEOを務めるBitcoin.comは、世界最大のソーシャルメディアが政治スピーチを抑制する動きだと指摘もしかしたら中央管理者による検閲のないビットコインキャッシュ・ネットワークのようなプラットフォームが普及するきっかけになるかもしれないと報じている。バー氏は、ビットコイン(BTC)ではなくビットコインキャッシュ(BCH)の支持者として知られている。

記事によると、既存のメディアに反対する「The Anti-Media」や「心理的アナーキスト」のページが削除された。しかしThe Anti-Mediaの運営者は「私のニュースページは全く詐欺やスパムではない」と主張し、「100万のフォロワーと5年間の努力が水の泡となった」と怒りの声を上げているという。また、心理的アナーキストの運営者は、5万人以上のフォロワーがいたのに「理由もなく」配信不可能になったと話している。

Bitcoin.comは「フェイスブックは中間選挙を直前に控えたこのタイミングで既存の体制に異を唱えたり無政府主義者のページを対象にしているようだ」と指摘し、フェイスブックの代わりになる分散型SNSとして、ビットコインキャッシュのブロックチェーン上で立ち上げられたMemoMatterを紹介しており、今回の件をサービスの利用拡大の追い風にしたい模様だ。

今回のフェイスブックをはじめその他の既存の大手SNSに代わる分散型プラットフォームに対する期待は高まっている。「詐欺ボット」や「なりすまし」など多くの問題を抱えるツイッターに愛想をつかして、一部のビットコイン利用者がマストドン(Mastodon)と呼ばれる中央管理者のいないソーシャルメディアを使い始めている。