国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は4日、世界の平均気温の上昇を産業革命前よりも1.5度以内に抑える方策を発表した。その中で、より大きなエネルギー需要を必要とする可能性のある技術に仮想通貨を挙げた。

IPCCの報告書によると、ブロックチェーンを含むデータセンターや情報技術システム周辺のインフラの一部である仮想通貨は、二酸化炭素排出の「世界的な源」になる可能性があると指摘した。

「仮想通貨のエネルギー使用に懸念が高まっているが、その基盤となるブロックチェーンインフラのエネルギー使用をめぐっては、かなりの不確実性が存在する。世界のビットコインマイニングのエネルギー要件が2017年以降大幅に増加していることは明らかで、最近の文献では、データのギャップやモデリングアプローチの違いにより、2020年の推定値に大きな幅(47 TWhから125 TWh)があることが示されている」

IPCCは、仮想通貨とブロックチェーンと並んで、人工知能のエネルギー要件も指摘。しかし、すべての技術には、その管理方法に応じて、排出量の削減を可能にする可能性があると指摘した。

「人工知能を含む情報蓄積・処理・通信技術の大幅な向上は、排出量に影響を与える。それらは、エネルギー効率の良い制御を強化し、エネルギー生産と分配のための取引コストを削減し、需要側管理を改善し(中略)、物理的輸送の必要性を低減することができる」

この報告書は、気候変動による環境への影響を軽減するために、2030年までに世界の排出量を半減することを提言するIPCCの第3弾。気候変動の影響として、海面上昇、異常気象の増加、海岸線付近に居住する人口や作物生産への課題などが指摘されている。

IPCCは、「今回評価したシナリオでは、温暖化を1.5度程度に抑えるには、世界の温室効果ガス排出量を遅くとも2025年までにピークアウトさせ、2030年までに43%削減することが必要。同時に、メタンも約3分の1に削減する必要がある」と述べている。「たとえそうしたとしても、一時的にこの閾値を超えることはほぼ避けられないが、今世紀末には閾値以下に戻る可能性がある」という。