インドのサブハッシュ・チャンドラ・ガーグ元財務長官が7月17日に行われたウェビナーで、インドの仮想通貨取引所ワジールX(WazirX)のニシャル・シェティCEOやブロックチェーン調査会社クレバコ(Crebaco)創業者のシッダール・ソガニ氏を含むインドの業界リーダーたちと、仮想通貨について議論した。

ガーグ氏は2019年に、仮想通貨の禁止を提案する法案の草案を事務局と共に作成した。同法案は、それらの資産を発行、使用、または主催した者に対し、10年の懲役刑および最大2億5000万ルピー(~330万ドル)の罰金刑を課すものだった。

インドの仮想通貨規制を巡る議論

ガーグ氏が仮想通貨業界のメンバーとこの問題について話し合うのは、この日が初めてだった。この議論により、提案した法案がインドの金融エコシステムから仮想通貨資産を完全に撲滅することになるという長年の認識を明確にすることができた。

ガーグ氏は、規制商品としての暗号資産の使用は認めると述べたものの、インドで通貨として機能することは許されないと付け加えた。

ガーグ氏の見解では、デジタル資産として「コンピューターコード」を提示する者、およびそれに投資したいと考える人々に関しては問題がない。しかしそれゆえに、仮想通貨は通貨というよりも取引可能な商品であり、それと同じ観点から規制されるべきと、ガーグ氏は述べた。

彼はまた、通貨としてのプライベートな暗号資産には存在を正当化する理由がなく、法的に禁止されなければならないとも主張した。

インドルピーのデジタル化

ガーグ氏はマネーのデジタル化に関する自らの考えを共有し、我々がマネーを理解および使用する方法は時間と共に大きく変化してきたと述べた。そして今日、マネーのデジタル化および中央銀行デジタル通貨の発行は、より良い金融サービスに対する全体的なニーズの一部であると彼は指摘した。

インド政府がルピーをデジタル化する可能性のある方法はいくつかあり、分散型台帳技術に基づく暗号資産はそれらの方法のうちの1つに過ぎないとガーグ氏は明言した。しかし彼は、暗号資産を利用するマネーのデジタル化には強く反対し、むしろ非物質化された紙幣の利用を好むとして、次のように述べた:

「仮想通貨は分散型台帳技術の上で機能する。それは多額の投資を必要とする技術であり、普通の人の通貨にはなり得ない」

仮想通貨支持者からの回答

ガーグ氏は暗号資産の存在と利用に合理的な理由を見出さなかったものの、分散型台帳技術には強い関心を示し、金融分野において多くの有望な使用事例が存在すると述べた。

これを受けてワジールXのニシャル・シェティ氏は、仮想通貨はブロックチェーン革新を推進するために重要な存在であると述べた。彼はイーサリアムブロックチェーン上でコードを展開する事例を共有しながら、それを行うには開発者が仮想通貨のイーサ(ETH)で支払いを行う必要があるとガーグ氏に説明した。

それらの支払いはインドルピーではできないと、シェティ氏は述べた。そのため仮想通貨はルピーの代わりとなるものではなく、伝統的なお金を利用できない場所での代替的な決済の形態と見なされるべきである。

またシェティ氏は、マイクロペイメントや融資、その他の金融サービスにおける仮想通貨の重要性にも言及した。

クレバコのシッダール・ソガニ氏はこの技術の新しさについて考察しながら、ブロックチェーンと仮想通貨は新しい技術であり、あらゆる知識は「一連の文献ではなく実践的な経験によって得られる」と述べた。

ソガニ氏は、政府は恐怖心から仮想通貨を禁止するべきではなく、むしろこの技術を理解するように努力し、その成長を支援するべきと締めくくった。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン