インドのタミル・ナードゥ州は行政手続きの簡素化のために、ブロックチェーンを含む新たな3つの政策を発表した。同州はチェンナイを州都に持つ地域。
ザ・ニュー・インディアン・エクスプレスによると、タミル・ナードゥ州のエダパッディ・K・パラニスワミ州知事は、同州がブロックチェーンポリシーを採用すると発表したという。ブロックチェーンの他には倫理的な人工知能(AI)やサイバーセキュリティーに関する政策を打ち出した。
パラニスワミ州知事は、同州が「知識証明型アイデンティティベースのサービス提供プロジェクト」を開始する意向であることを発表。具体的な内容は明らかにされていないが、同氏によると、政府が市民にサービスを提供する方法に革命をもたらすものだという。
このプロジェクトは同州のファミリー・データベース(SFDB)とブロックチェーンのバックボーン・インフラを確立し、活用する。このインフラストラクチャは、政府の手続きプロセスとデータの真正性と信頼性を保証する単一の情報源として機能する。ガバナンスを再構築し、州内のブロックチェーンの利用を促すために利用される。
パラニスワミ州知事は「この先駆的な取り組みは、市民がG2C(政府から市民へ)サービスを要求する必要性をなくす事になる」と期待を示した。
産業界やスタートアップ、大学などとのコラボレーションを促進させ、成熟したブロックチェーンエコシステムを構築するためにフォーラムを設置する必要性も指摘している。
タミル・ナードゥ州では農家の害虫対策にAIを利用している。同州電子ガバナンス局責任者であるサントシ・ミシャラ氏は今後、こうした利用が加速されると指摘した。
インドでは7月、ナレンドラ・モディ首相がブロックチェーンについて、「先端技術の機会」として支持を明らかにしているなど、ブロックチェーンの採用には積極的に動き出している。
「テクノロジーの機会には5Gやビッグデータ分析、量子コンピュータ、ブロックチェーン、IoTといった先端技術が含まれている」
仮想通貨には否定的なインド政府
インドではブロックチェーンの利用が検討される一方で、政府が仮想通貨トレードを禁止する計画が進められていると報じられている。ブルームバーグの報道によると、インド政府はブロックチェーン技術の開発は奨励するが、仮想通貨トレードは奨励しないと主張したという。
こうした動きに対しては仮想通貨業界から非難の声が上がっている。
リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは「失望させるものだ」と述べ、この決定が実行されれば、仮想通貨がインドで金融にアクセスできない人々に役立つ可能性を台無しにするものだと非難した。
インドでは、中央銀行であるインド準備銀行(RBI)は2018年に銀行が仮想通貨ビジネス関連の取引を行うことを全面的に禁止した。その後、インド国内の仮想通貨企業がこの決定に反対し、法廷闘争を続け、今年3月にインド最高裁判所が、RBIの決定を違憲と判断した。
そのため、現在ではインド全体で仮想通貨の新たなブームが起きている。仮想通貨取引所OKExとCoinpaprikaが5月に出したレポートによると、OKExは禁止解除後にインドからのサイトトラフィックが545.56%増加し、新規ユーザーも4100%増加した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン