ウォールストリートジャーナルや国際通貨基金 (IMF) のような世界のエスタブリッシュメント的アイコンともいうべき団体が、完全にビットコインと仮想通貨の世界を無視してからまだ3年も経っていない。ビットコインのブロックチェーン技術のような革新的な金融界における進歩が最早無視されるはずもないのは明らかだ。
ウォールストリートジャーナルが、世界で最も権力のある財務担当者の1人であるクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事との20分間のQ&Aコーナーを設け、我々が生活する世界経済に影響を与える数多くのトピックについてディスカッションを行った。WSJの経済担当編集者であるSudeep Reddyに対して送られてきた質問事項の中には、ビットコインのような仮想通貨がいかに経済成長に影響を与えるのか、といった内容のものも含まれていた。ラガルド氏はこれに対してポジティブな意見を述べている―”究極的には、私は金融機関にとって、こういった技術 (仮想通貨) を導入することが利益になると考えています。何故なら、そういった分野における経済プレーヤーなら誰もが、新しい市場に手を伸ばそうと考えるはずだからです。彼らは市場基盤を単にキープし続けるだけでなく、さらに広げたいと考えるでしょう。そして、それを広げるということは、さらなる領域へ手を広げていくことなのです”
それからクリスティーヌ・ラガルド氏はこう伝えている―
「もし、あと5年で既存の金融機関がそういったツールを導入できないとしたらとても驚きです」
この発言は軽蔑的とは言わないまでも、徹底的に好戦的な態度を見せたJPモルガンチェースのJamie Dimon氏が去年語ったこととは正反対である。去年ニューヨークで行われた、フォーチュン・フォーラムのパネルディスカッションの席で彼はこう答えていた―
「仮想通貨など・・・(ビットコインとやらを利用したところで!) 時間の無駄・・・すぐ終わってしまうさ!」
表面的には、銀行のエグゼクティブが分散型通貨から利益を得る道筋が見えないという事実があるために、つまるところ、特に彼にとって価値が全くないものに映っているのは、この点では理にかなっている。Dimon氏はビットコインのブロックチェーン技術利用に関してはポジティブな姿勢を見せているからだ。
ラガルド氏はまた、仮想通貨世界のセキュリティとその見通しについてもコメントしている―
「現在では、暗号通貨、ブロックチェーンに関して言えば・・・どのようにそれらが破壊し、どのように取引の機密性をセキュアなものにするのか、そしてコミュニティを形成していくのか―我々は今重要な時期に立っていると私は考えます」
さらに、”今現在は、それほどシステム全体に影響を及ぼすような脅威ではありませんし、完全にセキュアなわけでもありません。しかし、我々が確信しているのは、非合法な取引の糸口として利用される可能性もありますから、監視局や規制当局が目を光らせなくてはならないということです。そういったツールを使った、マネーロンダリングや、テロ支援は望んでいません”
重要なのは、年を追うごとに語り口が変わっていく、多くの経済界のエリートたちの思考を理解することである。Dimon氏のように、彼女も仮想通貨の影響に対して否定的な態度をとる可能性もあったが、代わりにコンセプトや、近い将来のメインの生活に溶け込むことにはほぼ賛成的であった。2、3年前なら、彼女の答えはかなり違っていたかもしれない。これはビットコインや関連する技術がどれだけの道を経てきたのか、そして、最終的な未来において、彼らのようなメインストリームによって受け入れが保証されるような信頼が生まれつつあることを明確に表している。
「はじめに彼らは無視し、次に笑い、そして挑みかかるだろう。そうして我々は勝つのだ
―マハトマ・ガンジー」