国際通貨基金(IMF)は29日、Xの公式アカウントでトークン化市場という新たな現象を解説する動画を公開した

国際金融システムの安定を担うIMFは、動画の中でトークン化市場の利点を認めつつも、フラッシュクラッシュを招きやすく、従来市場よりも変動性が高まる可能性があると警告した。

「トークン化は金融市場をより速く、安価にする可能性があるが、新技術による効率性は往々にして新たなリスクを伴う」と動画の中で述べている。

トークン化市場のメリットを提示

動画はトークン化を「お金の進化の次の段階」として位置付け、仲介機関の長いチェーンを大幅に削減でき、資産の購入・保有・売却が「より速く、安く」なると説明する。

清算機関や登録機関に頼る代わりに、トークン化市場ではこれらの機能をコードで自動化できる。

IMFによれば、初期のトークン化市場を研究した結果、プログラム可能性により、ほぼ即時の決済や担保利用の効率化でき、「すでに大幅なコスト削減が確認されている」という。

効率性がリスクを増幅させる可能性

一方でIMFは、同じ効率性が既存のリスクを増幅させる可能性を指摘する。

動画では、自動取引がすでにフラッシュクラッシュを招いてきたことを指摘。トークン化市場では即時処理が可能になるため、「従来の取引所よりもボラティリティが高まる可能性がある」と警告する。

また、複雑なスマートコントラクトが積み重なった状態では、ストレス環境下でドミノ倒しのように連鎖反応が起き、局所的な問題がシステミックリスクに転じる懸念があるという。

さらにIMFは、複数のトークン化プラットフォームが乱立して互換性がなければ、市場が分断され、流動性が削がれ、「速く安い市場」という本来の約束が損なわれる可能性にも言及した。

Governments’ role in money shifts“お金の進化”における政府の役割

加えて、動画は政府の積極的な関与を示唆する。「お金の重要な進化の局面で、政府が傍観者に甘んじてきたことはほとんどない」。

歴史が示すように、トークン化の未来でも政府がより積極的な役割を担う可能性が高いと述べた。

動画は、お金の制度変化に政府が介入してきた歴史を振り返る。

1944年には、ブレトンウッズ協定により、各国政府は為替レートを米ドルに固定し、ドルを金と連動させるという国際金融システムを再設計した。

そして1970年代には、財政負担や外部不均衡の拡大から金本位制が崩壊し、変動相場制と法定通貨時代へ移行し、その後、多くの先進国では政府部門の恒常的な財政赤字が拡大した。

こうした例から、IMFは政府が金融インフラの転換点に介入してきたと強調する。

トークン化市場の研究と市場の成熟

IMFは今回が初めてのトークン化分析ではない。数年前からトークン化市場の構造やデジタルマネーを研究してきた。

その分析が一般向け解説動画に拡張されたことは、トークン化がもはやニッチな実験ではなく、主流の政策課題として扱われる段階に入ったことを示している。

トークン化市場はすでに数十億ドル規模の産業に成長しており、ブラックロックのBUIDLファンドは2024〜2025年に急拡大し、フランクリン・テンプルトンのオンチェーン米国政府マネーファンドを上回る世界最大のトークン化国債ファンドとなった。

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