IBMのブロックチェーン金融サービスで技術責任者を務めるスタンリー・ヤン氏は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が2008年の金融危機で引き金となったリスクを軽減するのに役立つとの見方を示した。また、同氏が14日、CNBCのスクウォーク・ボックスのインタビュー内で語った。またヤン氏は既存のデジタル決済システムの断片化の解消にも、CBDCが役立つとの考え方を示した。

CBDCは、中央銀行が発行や管理を行い、一般的な仮想通貨のように非中央集権化されたものではないが、デジタル化された法定通貨だ。

ヤン氏は、2008年のリーマン・ショックの際、複数の国々に跨って発生した金融システム障害は、その時点で利用可能だった証券と資金の同時決済(DvP)メカニズムへの信頼の欠如がもたらしたもので、CBDCこそが金融サービスに必要な決済の確実性を確保する唯一の方法だとの認識を示した。

また、ある程度キャッシュレス化が進み、幅広いデジタル決済ソリューションが受け入れられている先進的な市場においては、市場の断片化を軽減できることがCDBC導入の大きなメリットのひとつだとしている。

ヤン氏は、IBMブロックチェーン金融サービスの最高技術責任者(CTO)であり、かつてはブロックチェーン・コンソーシアムのR3やブロックチェーン企業のコンセンシスに所属していた。また、シンガポールの中央銀行で決済システムの管理を10年間担当した経験も有する。

米ドルのCDBCが現実的であるかどうかという質問に対しては、「正しいビジネスと法律の下で」仮想通貨やブロックチェーンを支える技術がドル紙幣の代わりに使われるだろうと語った。

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は14日、シンガポールで開催されたフィンテック・フェスティバルで、「我々が仮想通貨を強く確信していなかったことを認める。その上で、国家がデジタル経済に資金を供給する役割があるかもしれない」と述べ、国際社会はCBDCの受け入れを検討するべきだと提案した