世界経済にとって3月12日は歴史に残る日になるかもしれない。
新型コロナウイルス対策で米国のトランプ大統領が欧州からの旅行者の入国を禁止。NBAが今シーズンを無期限で延期。イタリア政府がスーパーや薬局以外の店舗閉鎖を指示し、世界保健機関(WHO)はついにパンデミック(世界的な流行)を宣言した。
さらに俳優トム・ハンクス夫妻が新型コロナウイルスに感染していることを公表し、世界に衝撃が走った。
世界がひっくり返ったような事態をうけてマーケットは暴落。ダウは2353ドルという過去最大の下げ幅を記録し、安全資産であるはずの金(ゴールド)も下落し、新型コロナウイルス懸念が広がる前の水準に戻った。仮想通貨ビットコイン(BTC)も例外ではなく、執筆時点までの24時間で41%以上下落している。
まさに投資家は市場の流動性が欠乏する中、「売れるものはなんでも売る」事態となっている。一度に多くの投資家が資産を現金に変えるという出口に走っているのだが、買い手より売り手が多いために出口に到達できない状態だ。そんな時、普段では考えられないような安値で資産を現金に変えることもよしとするのが投資家の心理だ。
ビットコインの真価はこれから
問題は、今後はどうなるか?という点だろう。
既報の通り、参考になるのは金融危機の時の金の動きだろう。2008年の金融危機時、流動石の欠乏によって金は6カ月で30%近く下落。しかし、米国の債務危機や金融政策への不安などから金は2006年の650ドルから2011年には1800ドル超まで上昇。
モルガン・クリーク・デジタルのアンソニー・ポンプリアーノ氏は、「単純に考えると、金は金融危機の全日程を通してみると安全資産や価値保存手段として機能したが、最初の6カ月は流動性の危機に屈したというわけだ」と分析した。
同氏は、ビットコインにも当時の金と同じことが起きていると予想。多くの人々が流動性の欲しさからビットコインの現金化に走ったために暴落したが「流動性がほしい弱い持ち手はすでに動いた可能性が高い」とし、さらなる下落が続くとは思えないと述べた。
ポンプリアーノ氏は、今後問題になるのは「マネーの健全性」と指摘。不透明な金融政策に左右されず技術的にも素晴らしいビットコインの可能性を信じている人にとっては、むしろ今が買いだいう見方を示した。
「私は力強い買い手の1人であり、今朝、さらに法定通貨を売ってビットコインを買ったよ」
世界の中央銀行が利下げや量的緩和を行うことで法定通貨の価値は下がり、インフレのリスクが高まる。「ビットコインはまさにこういうシナリオのために作られた」とポンプリアーノ氏は主張し、ビットコインの希少性や生産の難しさ、透明性が本領を発揮するだろうと述べた。