住民票はクレジットカードで支払える可能性があることをご存じだろうか。
クレジット払いにすることでメリットが得られるケースもある。
ただし、クレジット払いにするためにはいくつかの条件が必要となる。
今回は、クレジットカードで住民票を払うことのメリットとその方法について紹介する。
住民税はクレジットカードで支払える場合がある
いくつかの条件を満たしている場合、住民税はクレジットカードで支払うことができる。
まずは、住民税の仕組みについて簡単に紹介し、どのような条件の場合クレジットカード払いが可能なのかについて説明する。
住民税には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類がある
住民税を支払う方法は、特別徴収と普通徴収の2種類である。
特別徴収は会社員など被雇用者のみが使う方法であり、普通徴収は個人事業主など自分で確定申告を行う場合に使う方法である。
特別徴収は、会社が月々の給与から住民税分を天引きし、税務署を通して都道府県や市町村に納付している。
そのため、多くの被雇用者は直接払い込みを行う必要はない。
一方、普通徴収の場合、つまり会社などに勤めていないために住民税を代わりに支払ってくれる人がいない場合は、自ら住民税額を計算して税務署に申告し、納付を行う義務がある。
特別徴収の場合は、会社が各種の手続きを行ってくれるため、個人が支払いを行わなくてもよい。
そのため、クレジットカードを利用して支払うこともない。
クレジットカード利用で住民税を支払うことができるのは、普通徴収方式の人のみである。
なお、住民税の特別徴収は一般的な企業であれば行っていることであり、自分だけ普通徴収方式に変えてもらう、というようなことは不可能だ。
クレジットカードで支払える自治体は限られている
クレジットカードで住民税を支払えるかどうかは、自治体によっても対応が異なっている。
将来的には増えていく可能性があるが、現在は以下のサイトに記載されている自治体しか対応していない。
自分の住民票がある市区町村(納税地)が掲載されているか、事前に確認しておこう。
クレジットカードで住民税を支払う方法
クレジットカードで住民税を支払うためには、いくつかの手順がある。
事前に準備しておきたいものもあるので、チェックしよう。
納付通知書を準備
普通徴収となる人は、郵送で『納付通知書』が届けられる。
これは、銀行やコンビニなどで払い込むための用紙であるが、クレジットカード払いを行う際にも必要な書類なので、絶対に紛失しないよう気を付けてほしい。
また、銀行やコンビニで支払う場合にはクレジットカードが利用できない。
現金一括払いが基本となるため、注意が必要だ。
納付通知書の中で必要となる情報は、「年度」「納税通知書番号」「納期番号」「確認番号」などである。
それぞれ払込用紙の券面に記載があるので、確認しておこう。
『Yahoo!公金支払い』へアクセス
次に、『Yahoo!公金支払い』へアクセスする。
クレジットカードを利用した住民税の納付は、現在このサイトからしか受け付けていない。
Yahooのシステムなので、Yahooアカウントは必須だ。
無料で作れるので、まだ持っていない場合には設定しておくと支払いまでがスムーズになる。
クレジットカードを用意
クレジットカードは、国際五大ブランド(JCB、VISA、Mastercard、AMEX、Diners)であれば利用可能だ。
使用期限の切れていない、本人名義のクレジットカードを用意しておこう。
サイトの流れに沿って入力、支払い
あとは、上記の情報をもとにサイトの流れにそって入力を行うと、オンライン決済まで行うことができる。
口座振替登録をしている場合は先に解約処理を
ただし、以前に口座振替登録(自動で口座から引き落としを行う設定)をしている場合は、あらかじめ口座振替登録の抹消を行う必要がある。
この方法については、住所地の市区役所・町村役場にそれぞれ連絡し、必要な手続きについて確認してほしい。
納税証明書は発行しておく
もう1点重要なことは、納税証明書の発行である。
口座引落の場合は後日振込証明書が送られてくるほか、銀行に取引記録が残り、通帳にも引落記録が記帳される。
現金振込の場合は、領収書として半券を必ず受け取ろう。
しかし、オンライン決済の場合は決済の完了を証明するための方法が乏しい。
そこで、念のため納税証明書については忘れずに発行しておくことをおすすめする。
万が一トラブルに巻き込まれてしまい支払っていないことにされてしまうと、月額1~2万円以上の高額な出費が追加でかかってしまう恐れがあるためだ。
住民税をクレジットカードで支払うメリット
クレジットカードで決済を行うメリットには、以下のようなものがある。
オンライン決済で納税できる
仕事が忙しく、平日の日中の時間帯に銀行には行けない人や、コンビニが近くにないために納税が面倒という人であっても、オンライン決済で納税ができる。
Tポイントが使用可能
納税にTポイントが利用できるため、Tポイントを活用した節約術を駆使している場合には、納税時の大きな出費を抑えることができる。
クレジットカードのポイントが付く
納税に際して支払った金額もクレジット決済であればポイント加算の対象となる。
YahooカードなどTポイントが貯まるカードであれば、Tポイントを使って減額した住民税に対してさらにTポイントを付け、翌年の住民税支払いにも充てることができる。
住民税以外の納付も『Yahoo!公金支払い』から支払える
住民税以外にも、自動車税や固定資産税などを支払うことができる市町村もある。
一度使い方をマスターしておけば、まとめてすべての公共料金、税金をオンラインで、かつ得する形で納付することができるようになる場合があるのだ。
分割払いやリボ払いの利用も可能
住民税は非常に高額になりやすい。
年間一括で支払うと10万円単位の支出となることは避けられないだろう。
一方、毎月サイトを経由して支払った場合、払い漏れが発生するリスクもある。
延滞してしまえば、延滞税として追加の金額を取られてしまう。
そこで便利なのが、分割払いやリボ払いにも対応しているという点だ。
ただし、2回払いやボーナス払いには対応していない。
また、分割払いの利率と延滞税の税率のどちらが高いかはカードの利率にもよる。
よりメリットのあるほうを適切に選んでいくことが重要だろう。
高還元率カードの保有者は実質的な節税に
支払手数料率である約1%を上回るポイント還元率のカードを保有している人は、クレジットカードで納税すると大きなメリットになる。
これらの人は、ポイント還元分と手数料分を差し引いても利益額が大きくなるため、実質的に住民税の節税となるのだ。
逆に、クレジットカードの還元率が低く、かつ現在口座振替処理としている人の場合は、節税の面で得られるメリットはない。
自分にとってどちらがメリットの大きい支払方法か、見極めることが大切である。
住民税をクレジットカードで支払うデメリット
一方で、クレジットカード払いにするデメリットも存在している。
『Yahoo!公金支払い』を利用するためにYahooのIDが必要
Yahooのサイトを利用するため、YahooIDが必要となる。
現在YahooIDを取得している人であれば問題ないが、インターネットや電子機器に疎く、新規ID発行が面倒という人には向かない手法だろう。
決済手数料がかかる
クレジット決済に際して、オンラインサイトの決済手数料がかかる。
手数料は市区町村によって異なるが、支払額の1%程度が手数料として余計に必要となることが多い。
支払えない都道府県・市町村がある
オンライン決済に対応していない都道府県・市区町村があり、必ず全員がクレジットカードを利用した納税ができるとは限らない。
対象地域かどうかは、先ほども示した以下のサイトを確認してほしい。
納付できない条件がいくつかある
上記の「対応していない自治体」以外にも、クレジットカードを利用して納付できない条件がいくつかある。
納付金額に上限がある場合がある
納税金額が極端に大きい場合、システムを利用できないケースがある。
例えば、東京都品川区では、100万円以上の納付書は利用できないとされている。
一般的に、住民税が月100万円を超えるようなことはあまりないと思われるが、金額が大きくなった場合には納付できない可能性があるので注意してほしい。
納付期限が過ぎている場合
納付期限が過ぎている場合は、延滞税が別途加算されるため、特定の金融機関、または所轄の税務署窓口で納付する必要がある。
よって、クレジットカードを利用したオンライン決済はできない。
住民税をクレジットで払えるか、払うべきかは人によって異なる
住民税をクレジットカードで払うメリットは主に、「銀行やコンビニなどに出向く手間が省ける」、「Tポイントが有効活用できる」、「クレジットカード利用によってカードのポイントが溜まる」という3点に集約することができる。
ただし気を付けなければならないことも少なからずある。
第一に、そもそも住民税をクレジットカードで支払うことができない場合があるという点だ。
これは住んでいる自治体の方針・対応によるものであり、すぐにどうにかすることができるようなものではない。
第二に、この住民税の支払い方法は普通徴収方式にしか適応していないという点がある。
一般的な給与所得者は、勤務先が代理徴税して税務署に納める特別徴収方式を取っており、この方法を変えてもらうことは原則的にできない。
医師などの特殊な職業に就いているいる人、自営業者、副業による収入があって個別に確定申告をしなければならない人など、限られた場合にしか利用できない方法なのである。
第三に、クレジットカードの利用に際して1%弱の利用手数料を取られるという点が挙げられる。
ポイント還元率が高いカードでなければ、クレジット利用でかえって損をしてしまうということにもなりかねない。
十分注意が必要だ。 これらのことに留意した上で、個人で確定申告を行っており、かつ高還元率のカードを保有している場合には積極的に利用していきたい制度が、クレジットカードによる住民税の納付だ、と言うことができるだろう。