欧州議会はブロックチェーンと暗号通貨をどう見ているか―その1

最近の報告書によると、欧州議会は暗号通貨に対してイノベーションの可能性を感じつつも、扱いが分らず複雑な心境のようだ。

欧州議会は、専ら暗号通貨を、効率化を図り取引のコストを下げるための手段として見ているようで、多くの銀行がビットコインに対して取っているアプローチのように、その基礎となるブロックチェーン技術が国境を跨いだ取引におけるコストを下げるような欧州連合の目下の目標を達成する方法の一つとして考えているようだ。

 

銀行と似たアプローチ

 

報告書には次のような内容が書かれている―

 

「決済の分野においてVCや用量規定などが定められる主な可能性としては、取引におけるコスト削減や、経済の回復と手軽さの提供、プライバシー水準の差別化が測れることなどが関係している」

 

暗号通貨のボラティリティや、投機によるバブルの可能性などが欧州議会の主な懸念事項である。

多くの人が、暗号通貨の匿名性や取引の追跡管理における特性などは欧州議会にとって問題ではないのだと考えているかもしれないが、そうではない。違法行為などが行われた場合を考えれば、システムによる完全なる匿名性は出来れば保障されない方が望ましい。したがって、欧州議会もまたブロックチェーンの持つ可能性と、犯罪行為に繋がる可能性どちらも鑑みたバランスの取れた考えを持っていて、むしろ”…政府は、マネーロンダリングや詐欺、汚職などを撲滅することが出来るのであれば、用量規定を定める可能性も否めない”と考えているのかも知れない。

 

国境を超えた取引

 

ヨーロッパ経済共同体がキーターゲットして考えていることの一つに、EU参加国間の”壁の取り壊し”がある。これはシェンゲン協定において制定されたもので、条約に署名した参加国間を国民が自由に移動し生活できることが保障されている。ここ数年間、EUは国際通話料金を徴収している電気通信事業者に対してローミング手数料を下げるよう働きかけていた。暗号通貨やブロックチェーン産業は、まさに国境を越えた決済に最適ではないだろうか。

 

「取引や決済、特に国境をまたいで資産を移動させる場合における決済の運用コストを下げれば、従来のオンライン決済システムでは2~4%、国際送金では平均7%以上も費用がかかっていたのに比べて、1%以下までぐっと減らすことが可能である」

 

しかし我々が知っている通り、ビットコインはさらに先を行っている―国を跨いだ決済における取引のコストを下げるだけではなく、そもそも国境という概念がビットコインには存在しないのだ。手数料は少ないが、全く国の国境という概念にはリンクしていない―ここが銀行とは異なる点である。

 

技術的な側面

 

こうしてみると、欧州議会が暗号通貨に対して一貫して共通したアプローチを取っていることがわかる。欧州議会はビットコインの基礎となるブロックチェーン技術に注目している。この技術革新によってEUが従来から考えてきた国家間の人工的に作られた敷居を下げられることがわかったからだ。そしていくつかの点で、欧州議会は銀行のやり方とかなりシンパシーを感じた見方をしていることがわかる。

ゴールはビットコイン技術をスマートに利用するということなのだ。

 

見通しの広いビジョンはない

 

しかしながら、他にも所謂リバタリアンや、ビットコインが現在の決済の構図を書き換えて、中央銀行の役割を再定義してしまうという過激な考えを持っている人もいる。ヨーロッパ的文脈から見て、実際に分散型の通貨が連邦主義であるヨーロッパに対してどのようなインスピレーションを与えることができるか想像してみよう。真にボーダーレスな通貨がEUのような超国家的存在とその金融政策にとってどのようなことを意味するのか想像してみるといい。結局報告書の中にはそういった見通しの広いビジョンについては少ししか記載されていない。

報告書には、暗号通貨が発展していく上で企業がどのように取り組めば良いのか、ということ以上にリスクの可能性などの多くの問題が挙げられ記載されている。結果的に、議会は欧州委員会に対して技術のノウハウを得るためにさらなる投資を行い、委員会の指導の元、専門調査団を立ち上げるように助言をしている。そういった調査研究によってより一層見通しの広い見識が生まれ、ブロックチェーンの他の側面にも目が向けられることを望むばかりだ―技術的側面からのみではなく。

次回の記事では、国家を超えた通貨としてユーロがビットコインからどのような恩恵を受けることが出来るか、その可能性について執筆する予定だ。