「友は近くに置いておけ。敵はさらに近くに置いておけ。」とはよく言われるが、これはブロックチェーン ― 特に新しいプラットフォームのもの ― でも正しいと証明されるかもしれない。すでに報じられているように、最近ビットコインから分岐したビットコインゴールドは、取引が始まったその日にDDoS攻撃を受けた。

ビットコインゴールドの公式ツイッターアカウントによると、同コインが軌道に乗り始めたところに、プラットフォームは毎分1000万件ものリクエストの集中攻撃を受けた。そのため、ウェブサイトは取引開始日のほとんどの時間停止し、完全に機能するようになるまで数日を要した。

これは17年第2四半期に起きた、相当な額の仮想通貨が盗まれ、ホワイトハットハッカー(ハッカーの中でも、コンピューターやネットワークに関する高度な知識や技術を善良な目的に活かす者)が救いの手を差し伸べた他のハッキング事件に続く事件となった。

DDoS攻撃への対応策としてのブロックチェーン

ビットコインゴールドの問題点はバンド幅、つまり、ウェブサイトのデータ処理能力だった。単純に、ビットコインゴールドのウェブサイトには、毎分1000万件のリクエストを処理するために必要なバンド幅がなかったのだ。

ブロックチェーンがもたらす分散化は、バンド幅をプールし、これを売り出す方法を作り出した。結局のところ、自宅でインターネットを使うユーザーは、彼らが毎月支払っているバンド幅のほんのわずかしか使わない。ブロックチェーンを通じてバンド幅はプールされ、DDoS攻撃からの保護を求める会社へと売却される。ハッキング専門家のダアン・ペピジン氏(Daan Pepijn)は次のように語る。

DDoS攻撃の際、予備のバンド幅はゾンビマシーン(悪いハッカー達が乗っ取ったのと同じ機械)から発生する交通渋滞を逸らし、緩和させる。これにより、コンピューターと早いバンド幅そして予備のバンド幅を持つ誰もが、世界的そして地域的なDDoS軽減ノードのプールに貢献するために、余分なバンド幅を貸し出せるだろう。

バンド幅のニーズの分散化と余剰分のプールにより、会社は有効的に、将来的な攻撃のための資源を集めることができる。ブロックチェーンがもたらす解決策がなければ、ビットコインゴールドが受けたような攻撃は常に機能停止を生じさせてしまうのだ。

善良なやつらのやる気を起こさせる

ブロックチェーンは、悪いハッカーからプラットフォームを守ろうとしているホワイトハットハッカーのやる気を起こすためにも使われている。バグ発見報奨金を出すことで、会社は敵を友人の輪へ引き込み、プラットフォームの潜在的な弱点を見つけ、突破し、解決できるシステムを作ろうとしている。

例えばダッシュ(DASH)という仮想通貨は最近60000人のホワイトハットハッカーのグループを使って、ブロックチェーンを徹底的に分析しバグを探した。このプロセスは、はるかに安全な仮想通貨のブロックチェーンシステムをもたらした。

他の仮想通貨プラットフォームも、悪いハッカー(ブラックハットハッカー)から自身を守るために、この「善良な」ハッカーを雇おうとしている。技術プロバイダーは、分散化されたブロックチェーン・プラットフォームを通じてバグを追跡するようホワイトハットハッカーを奨励している。再度、ダアン・ペピジン氏(Daan Pepijn)はこう語る。

米バグクラウド社によると、企業は17年の初めから600万ドルを支払ってきた。この数字は16年全体よりすでに211%増えている。これは、論理的ハッキングのエコシステムの潜在力を明確にしている。

ホワイトハットハッカーを奨励することにより仮想通貨プラットフォームは、ユーザーを盗難から、そしてプラットフォーム自身を不名誉と大損失から守っている。他の業界と同様に、ブロックチェーンはそのような保護の基盤となるようだ。ブロックチェーンはホワイトハットハッカー達とDDoS保護の間に、数年前まで考えられなかったようなハッキング事件への解決策を提供しているのだ。