2019年にハッキング被害にあった仮想通貨取引所クリプトピアを巡り、ニュージーランドの裁判所は8日、取引所が保有する仮想通貨はアカウント所有者に帰属すると判断を下した。

クリプトピアは8日のツイートで、裁判所の判決文を掲載した。クリプトピアは19年1月のハッキングで仮想通貨が流出。この影響で19年5月には破産手続きに入っていた

判決文の中では、アカウント所有者の仮想通貨について、次のように判断している。

「アカウント所有者の仮想通貨は、個々の暗号資産タイプによって分離された複数の信託に保存されていた。これは仮想通貨がアカウント所有者によって所有されており、会社の資産ではないことを意味している」

今回の判決では、裁判所は、取引所のユーザーの資産が複数の信託で保有されていることから、アカウント所有者は信託の共同受益者として扱われることになった。

ニュージーランドの信託法において暗号資産が適用されるかどうかについて、裁判所は「無形の私有財産の一種であり、明確に識別できる価値のあるもの」であると結論付けている。

したがって、資産として、暗号資産は「疑いなく、信託の対象となる」。清算人が盗まれた資産を回収することに成功した場合、所有者に配分されることになる。

「彼らは、盗まれた金額に対して査定された回収された額に従い、関係するデジタル資産の各特定の信託内で比例配分される」

アカウント所有者には払い戻しが行われるが、債権者が利用できる流動化資産のプールは約540万ニュージーランドドル(約3.5億円)になる。

これは、全債権者の請求額が計1270万NZD(約8.2億円)であることから、請求額の半分にも満たない額である。

また判決文では、清算人である会計事務所グラントソントンが、アカウントの名義人の身元を確認できないケースがあると指摘している。その場合、影響を受ける暗号資産は、ニュージーランドの法律に従って処理されることにある。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン