コミュニティが投資した直後にハッカーによって流出した未監査プロトコルであるエミネンス(Eminence:EMN)を巡って、分散型金融(DeFi)のヤーン・ファイナンス(YFI)創設者でEMNの開発者であるアンドレ・クロニエ氏を訴える訴訟をクラウドファンディングで資金を募っている投資家グループが出てきている。

EMN Investigationというグループは投稿の中で、クロニエ氏やYearnプロトコル開発者のbanteg氏、ツイッターユーザーでYearnサポーターのBlue Kirby氏を訴えるための資金を集めている。クラウドファンディングで集まった資金の全額が訴訟用の資金に充てられるとして、11月9日まで資金を募っている。さらに以下のように述べている。

「寄付へのお礼として、クラウドファンディングキャンペーン終了時にスナップショットを撮影し、YFIをフォークした供給量の50%を寄付者にエアドロップします。残りの50%の供給分はEMNスキャンダルの被害者にエアドロップされます。我々は新たなDeFiのエコシステムを構築し、悪質な行為者は排除する。」

EMNプロトコルは9月29日にハッキングされた。ハッカーは1500万ドルを盗んだが、その後に約半分の800万ドル分をクロニエ氏に振り込むという奇妙な行動を起こしている。クロニエ氏はハッキング時点、3週間はEMNをリリースする計画ではなかったと述べている。

EMN Investigationは、プロジェクトが価値がないテストの状態であるならば、ここまで宣伝をするべきではなかったと主張している。

「EMNがテストであったならば、トークンとしての価値はゼロだ。それなのにアンドレは一言も言わずに1500万ドルが注ぎ込まれるのを見ていた。しかも、リツイートでプロジェクトを宣伝し続けた。なぜ彼は少なくともヤーン・ファイナンスチームに、価値のないテストトークンを売買していることを警告しなかったのだろうか?もし他のチームの開発者がテストトークンの売買を始めたら、彼らは詐欺で非難され、チーム全体の正当性を失うことになるだろう。よく言えば、これはバイラルローンチの失敗であり、悪く言えば価格操作だ」

既報の通り、クロニエ氏はEMNのハッキングの後、殺害予告を受け取ったとして、ソーシャルメディアから姿を消している。banteg氏によると、クロニエ氏は開発をやめたわけではないが、ツイッターからは身を引いたという。Blue Kirby氏は自身のツイッターアカウントを削除している。

こうした非難の一方で、ヤーン・コミュニティは、開発者への支持を示すために、「Love Letter for Andre」というスレッドを立ち上げている。

EMNの問題にも関わらず、YFI価格はここ数日で58%の急騰を見せている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン