分散型金融(DeFi)のヤーン・ファイナンス(YFI)創設者のアンドレ・クロニエ氏が、DeFiコミュニティから「殺害予告」を受けて「やる気をなくした」として公の場から姿を消した。
クロニエ氏は、一部の投資家が未監査のプロトコルである「エミネンス(Eminence:EMN)」に殺到し、コミュニティが投資した1500万ドルが、すぐにハッカーによって流出させられたことで、様々な脅迫を受けたことを明らかにしている。1500万ドル流出については、クロニエ氏が寝ている間にハッカーが半額の800万ドルを戻すという奇妙な行動も話題になっている。
クロニエ氏はエミネンスの投資家にこの800万ドルを返金するロードマップを発表した9月29日以降、ソーシャルメディアでの活動を行なっていない。
As I am receiving a fair amount of threats, I have asked yearn treasury to assist with refunding the 8m the hacker sent. The multisig is safer and as such I feel more comfortable with them having the funds. Funds will be returned to holders pre-hack snapshot. https://t.co/wbputn5hYD
— Andre Cronje (@AndreCronjeTech) September 29, 2020
10月9日に、ヤーンプロトコルの開発者であるbanteg氏が、クロニエの沈黙について、以下のように明らかにした。
「アンドレはもうツイートしないと言っていた。人々は要求していたものを手に入れた」
banteg氏がコインテレグラフに対し、クロニエ氏が受けた脅迫は深刻なものだったと明かした。さらに、エミネンスが凋落する中で、DeFiコミュニティの行動は、クロニエ氏のコミュニティへの見方に大きな影響を与えていると指摘する。banteg氏は以下のように非難した。
「大規模な仮想通貨コミュニティは常に幼稚で無責任で、アンドレが説いてきたこととは真逆だ。この魔女狩りは別問題で、先週は非常に落胆させられた。」
さらに「私はノイズを調べ、開発を続けている。開発者の周りにいると、誰かに吸われたエネルギーを和らげられる」とこうした事態を起こしたコミュニティに嫌気がさしていると話した。
クロニエ氏が姿を消したことで、ヤーン・コミュニティは、開発者への支持を示すために、「Love Letter for Andre」というスレッドを立ち上げた。このスレッドは24時間で24以上の投稿があった。ユーザーの一人である「Wot Is Goin On」は以下のように投稿した。
「家族と過ごす時間を持つべきなのだろうが、その代わりに我々は、会ったこともないスマートコントラクトの開発者に向けて、ガバナンスフォーラムにメッセージを書く時間を割いている。ここでは何か特別なことが起こっていて、ここから始まるだろう。」
さらに「JarJar」というユーザーは、次のように今回の事件をポジティブに捉えている。「EMNに起こったすべては、災い転じて福となった。すべてのハイプを断ち切り、価格に取り憑かれた堕落した人々が集まっていたコミュニティを浄化し、プロダクトの構築と長期的なコミュニティに焦点が戻されたからだ」
YFIは2020年に起きたDeFiバブルの中でもトップのパフォーマンスを示したトークンの一つだ。8月には900%以上上昇し、一時43500ドルの史上最高値を記録した。

YFIは、エミネンスの一件以来、下落傾向にあり、最高値から3分の2まで落ち込んでいる。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン