ギリシャ最高裁は、仮想通貨取引所BTC-e(現在は廃業)の元運営者とされるアレキサンダー・ヴィニック被告をフランス当局に引き渡すことを支持する判決を出した。ロシアの大手国営通信社TASSが19日に報じた

39歳でロシア国籍のヴィニック氏(通称「ミスター・ビットコイン」)は、BTC-e上で最大40億ドル相当のビットコイン(BTC)の不正取得とマネーロンダリングを行った容疑で米国検察当局に起訴された後、17年7月25日、ギリシャで逮捕されていた。

ヴィニック氏は日本の仮想通貨取引所マウントゴックス(Mt.Gox)での事件にも関与が疑われている人物だ

さらにニューヨーク・タイムズは9月、BTC-eがロシアの軍事諜報機関の資金を取り扱った疑いがあるとも報道。その諜報機関は16年の大統領選挙に先駆けて民主党のメールにハッキングしたとアメリカ捜査当局によって非難されている。

米国の起訴の後、ロシアとフランスの双方からも、複数の詐欺容疑でヴィニック氏の引き渡し要請が出ていた。ギリシャのテッサロニキ裁判所は今夏、ヴィニック被告をフランスに引き渡す判決を下したが、同判決に対し、ヴィニック被告がギリシャ最高裁に上告していた。

TASSの報道によると、ギリシャ最高裁は11月19日にヴィニック氏のフランスへの引き渡しについて議論したが、当初その判決を同月29日まで延期していた。

ヴィニック氏は17年の逮捕以降、ギリシャの刑務所内に拘留されており、11月下旬にはギリシャの裁判官たちの「恣意性」に抗議するためにハンガーストライキを始めていた。TASSは今月19日、同被告が以下の通り主張していると報じている。

「すでに24日間絶食を続けている。直近の体重測定が昨日[刑務所内で]あったが、書類によると8キロ減だった。ただし、ハンスト開始後すぐに体重測定があったわけではなく、開始3日後からだったため、正確には9キロ減だ」

報道によれば、ヴィニック氏は、ロシアへの引き渡しがなされない限り、ハンストは止めない意向だという。

ヴィニック被告の弁護士団は、同被告がフランスに引き渡されれば米国に送還されることになると考えている。17年7月のBTC-e閉鎖後、米国はBTC-eに対して1億1000万ドルの罰金を、さらにヴィニック被告個人に対して、BTC-eにおけるマネーロンダリング対策(AML)違反で1200万ドルの罰金を科している

TASSは、最高裁の判決があっても、最終的にどの国に対して同被告を引き渡すのかは、ギリシャの司法省の判断に委ねられることになるだろうと指摘。場合によっては、ギリシャの首相に判断が委ねられる可能性もあると伝えている。

ロシア外務省は、今年7月、ギリシャ当局が「依然としてロシアとの関係を複雑にしょうとしている」と非難し、ロシアへの引き渡し要求がフランスの要求に優先されるべきと主張していた。