米グーグル・クラウドが6日、ビットコインやイーサリアムなど9種類の仮想通貨エコシステムにおける「所得格差」の検証結果を紹介した。ビットコインやイーサリアムでは富の分配が進む一方、ビットコインキャッシュやイーサリアムクラシックはハードフォーク以降、逆に富の集中が進んでいるようだ。

グーグルは、ビッグデータ解析プラットフォームのBigQueryの応用事例の一つとして各仮想通貨エコシステムのジニー係数を調査。ジニー係数は社会における所得分配の不平等さを測る指標として開発され、0.0が完全に分配されている状態(すべての人が平等に持つ)を示す一方、1.0が完全な富の集中(一人がすべてを持つ)を示す。

今回グーグルは、それぞれの仮想通貨のトップ1万アドレスのジニー係数を計測した。

折れ線グラフがゼロに近ければ近いほど、富の分配が進み、多様性があると考えられる一方、1に近ければ近いほど、富の集中が見られると考えられることになる。グーグルは、「生物の多様性と生態系の安定は正の相関関係があり、エコシステムの生産性の改善につながる」と指摘している。

ビットコイン・イーサリアム・ビットコインキャッシュ・イーサリアムクラシック

去年は、ビットコインとイーサリアムは下落傾向にある(分配が進む)一方、ビットコインキャッシュやイーサリアムクラシックは横ばいか若干の上昇で推移してる。とりわけグーグルは、ビットコインキャッシュについて「安い取引手数料で価値の移転を増やすことを掲げているが、ビットコインからのハードフォーク以来、ビットコインキャッシュは実際のところは富の偏りが進んでいる」と解説。同様の傾向がイーサリアムクラシックに見られると指摘した。

また、ビットコインやイーサリアム、ライトコインのジニー係数が昨年の12月に大幅に下落したことに関してグーグルは、仮想通貨取引所コインベースによる巨額資金移動を指摘。コインベースは、上場仮想通貨の数を増やすため、ビットコインやイーサリアム、ライトコインなど50億ドル(約5450億円)の資金移動を行っていた。

ダッシュが1位

今回調査で明らかになったのは、匿名通貨として知られるダッシュのジニー係数が一番低いということだ。グーグルは、「最低1000DASH以上を保有するアドレスに対して利子が支払われるシステム」があるため、大口保有者は複数のアドレスに分けて資産を保有するインセンティブがあると指摘。ただ、例えそうだとしても、「他の仮想通貨に比べて分配がかなり進んでいる」と評価した。

グーグルは6日、BigQueryの検索サポートに、ビットコインキャッシュ、ダッシュ、ドージコイン、イーサリアムクラシック、ライトコインとジーキャッシュを追加したと発表。これまでサポートしていたビットコインとイーサリアムだけだった。