GMOインターネットは12日、2018年1~9月期の決算説明会を開いた。仮想通貨事業は、マイニング事業は赤字だったものの、仮想通貨交換業が収益を出したことで黒字となった。自社開発したマイニング装置は、一部電子部品の調達が難航したことで出荷を延期。また来年発行予定のステーブルコインの名称を「GYEN」に変更することを明らかにした。

GMOグループでの仮想通貨事業は7~9月で売上高26.1億円で、営業利益は1億円だった。傘下のGMOフィナンシャルグループが10月25日に発表した通り、仮想通貨交換業の7~9月の売上高は13.6億円、営業利益は7.4億円だった。一方、仮想通貨マイニング事業は12.3億円の売上に対し、6.4億円の営業赤字となった(4~6月期は売上高11.7億円で、3.6億円の赤字)。

マイニング事業は、自社ハッシュレートは増加したものの、ビットコインの価格低迷やグローバルなハッシュレートが上昇したことに加え、マイニング装置の償却負担が増加したことで、赤字幅が拡大した。

マイニング事業については、より電気代の安い場所に移転して収益性を改善する考えを示した。GMOの熊谷正寿代表は「現在の電気代の半分になる場所へ移転しようと考えている」と明かし、コスト削減で収益力向上につなげる。

マイニング装置の出荷延期

GMOが自社開発したマイニング装置「GMO miner」の出荷を延期する。当初は10月末から順次出荷する予定だったが、マイニング装置に必要な「コンデンサ」と「抵抗」の部材調達が難航している。「世界的に需要がひっ迫しており、入手が困難になっている」(熊谷氏)といい、出荷時期については現時点では具体的な目途を報告できない状況だと説明した。

現在GMOが手掛けるマイニング装置は、回路線幅が7nm(ナノメートル)のチップを使ったものだ。決算説明会では5nmのチップ開発についても質問が出た。熊谷氏は「最先端チップを使うことが必ずしも勝つ道ではない」とし、5nmのチップ開発については消極的な考えを示した。台湾のファンドリーやGMOの半導体技術者と議論する中で、低コストによる装置開発の方が有利との考えに傾いているという。

ステーブルコインは「GYEN」で展開

GMOは10月9日に発表した円と連動したステーブルコインについて、当初予定していた「GJY(GMO Japanese Yen)」のティッカーを「GYEN」に変更すると発表した。「GJY」では呼びづらいとの声があったためだという。GMOは2019年中にステーブルコインを発行し、アジアを中心に海外取引所に上場させる計画だ。

マイニングと交換業を展開するGMOにとって、決済分野は仮想通貨事業の最後のピースだ。熊谷氏は12日の決算会見でも、ステーブルコイン発行が「決済の最大の解になりえる」とその意義を強調した。

「ステーブルコインなら、既存のインターネットのネットワークを使って、365日24時間の送金が可能になる」と語り、従来の銀行間送金よりもより低コストで瞬時に行える点を指摘。「近未来の決済がステーブルコインで実現するだろう」と期待を寄せる。

GMOの強みは?

仮想通貨交換業の売買代金は昨年末をピークに大幅に減少し、マイニング事業も赤字が続いている。決算説明会ではGMOの仮想通貨事業の強みについても質問が出た。熊谷氏はグループ全体で仮想通貨事業を手掛ける点を挙げた。

「エクスチェンジ、マイニング、ペイメントの3分野を手掛けており、さらに銀行や証券、交換業のライセンスをグループ全体で持っている。これは世界的に見ても類がない体制だ。(各事業を)有機的に結びつけることができる」

グループ連携の一環で、11月中旬にはGMOあおぞらネット銀行とGMOコインとの口座連携を開始し、即時決済ができるようにすることも明らかにした