ファンドストラット社のトム・リー氏が最新レポートの中で、ビットコイン(BTC)マイニングの利益は現在、損益分岐点ぎりぎりの所にあると指摘した。CNBCが15日に伝えた。仮想通貨市場は現在、下落局面の真っただ中にあり、マイニング活動は一時的に利益の上がらない状況になっている。

 リー氏はレポートの中で、現在1ビットコインをマイニングするのに、8038ドルのコストがかかると指摘する。コインマーケットキャップのデータによれば、記事執筆時点のBTCは8221ドル辺りで取引されており、過去24時間で25%下落した。

 ファンドストラット社が1BTC当たりのマイニングコストを計算するのに使用したモデルには、設備費、諸経費(冷却装置維持費など)、電気代(6セント/KWと仮定)が含まれる。ファンドストラット社の定量データサイエンス部門長、サム・ドクター氏によれば、設備交換費がマイニングコスト全体の半分以上を占めると言う。

 また、仮想通貨マイナーは取引手数料からも利益を得ているが、最近はその手数料も下がっているビットインフォチャートのデータによれば、取引手数料の中央値は、3月15日現在で約0.21ドルだった。一方、昨年12月23日時点では、34ドルを超えていた。ウェブサイト『クリプトコンペア』のチャーリー・ヘイターCEOはCNBCに対し、マイナーたちの現在の稼ぎは、12月の半分の水準になっていると話した。ハッシュレートで測定する限り、BTCマイニングの人気は高まっており、これも利益を下げている一因と言う。

 ファンドストラット社のドクター氏によれば、マイナーたちはビットコインの価格が3000ドルか4000ドル辺りまで下がれば、マイニング事業を中止する可能性が高い。ドクター氏は、1BTCあたり200~300ドルだった15年1月が、かつてはビットコインマイニングの損益分岐点だったと付け加える。

 しかしながらCNBCは、中国のビットコインマイナーたちは、損失が出るような水準までBTC価格が下がったとしても、たぶんマイニングを続けるだろうと伝える。利益を海外に送り、中国政府の資金規制から切り離すという、別の動機があるためだ。

 仮想通貨マイニングの電気代も上昇しており、そのため評論家たちの中には、利益よりも、環境へのネガティブな影響を心配する者たちもいる。

 しかしながら、コインテレグラフが2月中旬に伝えたように、電気に関しては再生可能エネルギーの豊富な選択肢が存在する。また、仮想通貨の使用は、銀行口座保有率の低い国や、ベネズエラのようなハイパーインフレの国にメリットをもたらすことができる。そのため、高い電気使用量はおそらく「大した問題ではない」だろう。