あなたは犯罪者が使ったビットコインにいくら払うか?サトシ・ナカモトが持ってたビットコインはどうだろうか?

SNS上で中国の詐欺集団が少なくとも20万BTC(約2120億円)をだまし取っていたという話題が広まる中、ビットコインのファンジビリティ(代替可能性)の問題について議論が始まっている。今後、ファンジビリティの問題が、ビットコインの需給にも影響するという見方もある。

紙幣・硬貨を含む現金は、ファンジブル(代替可能)と言われる。例えば1万円札を犯罪者が使おうが聖人が使おうが、その1万円札はいつでもどこでも1万円札として利用が可能で、1万円の価値を維持している。言い換えれば、現金を見ているだけでは「汚いカネ」と「クリーンなカネ」の特定が不可能。それぞれの1万円札は、他の全ての1万円札と同じように扱われる。

では、ビットコインはファンジブルか?答えはノーだろう。なぜなら特定のアドレスと個人・グループを特定することは、現状では、不可能ではない。だから例えば犯罪者が使ったビットコインは「汚された」マネーとみなされ、1BTCであっても1BTCの時価より割安の価格でしか扱ってもらえなくなる可能性がある。

犯罪者が直接使ったビットコインだけではない。例えば、あなたが、AML(アンチマネーロンダリング)やKYC(顧客確認)で引っかかる個人やグループが取引履歴にあることを知らずにそのビットコインを取引所に送ったとしたら、あなたは取引を拒否されるかもしれない。

だから、全く取引記録のないビットコイン、いわゆる「ヴァージンビットコイン」が機関投資家などから重宝されているのだ。

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フリーの仮想通貨研究者Hasuは、15日、「汚されたコインへの割引額は、供給(どのくらいのコインが汚されたか)と需要(どのくらいのコインが汚されていないか)の関数」になると述べた。

一方、特定のコインに対して逆にプレミアムを払うという人もいる。

仮想通貨投資会社プリミティブ·ベンチャーズの創業メンバーであるドビー・ワン氏は、「もしサトシが彼のコインを動かしたら、収集価値があるのでプレミアムも喜んで払う」発言。ビットコイン創設者サトシ・ナカモトが持つ(とされる)ビットコインにプレミアムがつくことはありえることだと述べた。

先日、半減期を終えたライトコインの創設者チャーリー・リー氏は、コインテレグラフとのインタビューの中で「ファンジビリティーはビットコインやライトコインなど一部のマネーに欠けている特性の1つ」と指摘し、「プライバシーとファンジビリティーが次の戦場になる」と述べた。

全ての取引記録を見せないために必要になるのが「プライバシー」。「プライバシーなくして、ファンジビリティーはない」(リー氏)。しかし、そうした機能がビットコインやライトコインに追加された時、規制当局は許してくれるのだろうか?取引所から上場廃止になることはないのだろうか?リー氏は、慎重に見極めなければならないと話した。