シンガポール拠点の大手仮想通貨(暗号資産)取引所KuCoinがハッキングされ、2億ドル(約210億円)以上の仮想通貨が流出したことを受けて、世界中の仮想通貨取引所や仮想通貨プロジェクトが、これらの仮想通貨が移動されることを防ぐ措置を講じている。

KuCoinグローバルのCEOであるジョニー・リュウ氏はコインテレグラフに対し、ハッキングの影響を受けた少なくとも1億2900万ドルの仮想通貨とビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)、ERC20ホットウォレットは「安全」で復旧可能であるとしている。当初、報道ではハッカーによって1億5000万ドルが盗まれたとされていたが、新たな推定では2億ドルに近い金額となっている。

今回のハッキングでは多数のERC20トークンが盗まれたが、多くのプロジェクトは素早く反応している。

分散型データ交換プロトコルのOCEANチームメンバーは、2100万以上のOCEANトークンを凍結した。これは現在780万ドルほどの価値を持つ量だ。プロジェクトはその後、ハードフォークを実施すると発表。「ハッキングの影響を逆にするため」としている

一方で、仮想通貨取引所ビットフィネックスとテザー社は、テザー(USDT)を凍結。テザー社はブラックリスト機能を使ってUSDTを、ビットフィネックスはEOS上とトロン上のUSDTを凍結したと発表している

さらにリュウ氏によると、KuCoinはVIDT_Datalinkとともに、盗まれた1449万ドルのVIDTトークンのうち1400万ドル分を凍結して回収しただけでなく、Covestingと協力して56万ドルのCOVトークンを凍結して回収したという。また、アクロポリスは、すべてのAKROトランザクションを一時停止し、ハッカーのアドレスをブラックリストに登録した。

他のプロジェクトでは、今回のハッキングを受けてスワップを含め、ユーザーの資金を保護するために異なるソリューションが必要とされている

リュウ氏によると、KuCoinはSilent Notaryと協力してSNTRコントラクトをアップグレードし、盗まれたSNTRトークンのうち789億分、つまり約10万ドル相当を交換したという。またKuCoinはオリオン・プロトコルと協力して、記事執筆時点で約880万ドル相当の381万分のORNトークンスワップを完了させた。その他のERC20トークンやプロジェクトも多数が対処されている。

しかし、すべての対策が効果的ではない。9月27日の一連のツイートの中で、ホエール・アラートは、KuCoinのハッカーが54万のSNXトークン(約2億8500万円相当)を数回の取引で未知のウォレットに移動させたと報告した。今後売却されることになるとみられる。同プロジェクトは、現時点ではまだTwitterアカウントやブログで声明を発表していない。

ハッキングの程度に関する報告は現在進行中だが、リュウ氏は、KuCoinが保険を通じてハッキングの影響を受けたユーザーの資金を完全にカバーする準備ができていると述べている。取引所についても「1週間以内にすべての業務を完全に再開する」と述べた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン