人気ゲームフォートナイトを開発したエピックゲームス創設者のティム・スウィーニー氏は31日、ツイッターでNFT(ノンファンジブル・トークン)技術とそれによって可能となる「メタバース」は現状うまくいっていると一定の評価をしているが、取引手数料や仮想通貨の「投機的で乱暴な混乱」によって、デジタル空間への適用はまだ先だとの見解を示した。

メタバースとは「メタ(高次元)」のユニバースを掛け合わせた造語で、リアル世界とついになる仮想空間を指す場合に使われる言葉だ。

スウィーニー氏は、ブロックチェーン調査・投資企業のドルフィ・デジタルのピアー・キックス氏が執筆したブログ「Into The Void: Where Crypto Meets The Metaverse」に対してコメントした。このブログはデジタル世界への接続性とゲーム内経済の歴史をまとめたエッセイだ。最終的にブロックチェーンのメタバースが、これまでの仮想空間を単純に改善したものではなく、新たな人間の歴史の始まりだと主張している。

「今後数十年で仮想世界の新時代が到来し、ネットワーク化された種としての大きな節目を迎えるだろう」

スウィーニー氏はツイッターで、このブログを賞賛し、ブロックチェーンとNFTが融合したメタバースは「最もありうる方向」と認めた一方で、こうした発展はまだ先のことであり、投資家は資産管理に慎重であるべきだと指摘した。

キックス氏はコインテレグラフに対し、「ティムがこうした技術の可能性を認識ているのは非常にエキサイティングだ。彼はゲーム業界内外含めたパイオニアだ」と述べた。一方で現在のNFTを取り巻く環境については「消費者向けのメインストリームになる準備はできていない。ボトルネックとなっているのはスケーラビリティだけではない」と指摘し、課題は多いことを認識しているとした。

「現在は投機的な見方が多いだろうが、市場がスケーラブルなビジネスやインセンティブモデルを模索する中で、意欲的に取り組んでいる人にとっては、非常にエキサイティングな時だ。仮想通貨に対する潮目は徐々に変化している」

投機渦巻く

スウィーニー氏だけではなく、ここ数週間でNFTに興味を示した大物起業家は他にもいる。月曜日には、著名投資家のマーク・キューバン氏が自身が踊っている姿のアニメーションを10個限定でリリースした。

しかし、発表後まもなく、キューバン氏はテレビのインタビューでNFT価格は「インフレ」していると述べ、NFTへの関心は純粋に調査目的であるとした。

キューバン氏とスウィーニー氏の両氏がNFTスペースを席巻している高額なバリュエーションに疑問を抱くのに十分な理由がある。1月23日には希少なCryptoPunkのNFTが605ETHで売却された。こうした動きについて、一部の批評家は「NFT」という名目によって高騰していることに疑問を呈している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン