米国土安全保障省の元職員であるクリストファー・クレブス氏は、27日に公開されたインタビュー動画で、匿名の支払いは「一般的な米国人が懸念する」脅威であると述べ、仮想通貨に対する政府の監視強化を呼びかけた。

米国のコメディアンであるビル・マー氏が主宰するトーク番組「リアル・タイム・ウィズ・マー」で、マー氏は元サイバーセキュリティ&インフラストラクチャーセキュリティ庁(CISA)長官のクレブス氏に対し、ビットコインについて尋ねた。

マー氏は「ビットコインに何が起ころうとしているのか。どこに向かうのでしょうか。私は文明を破壊すると考えている。」と聞いた。

クレブス氏は「仮想通貨は国や地方の自治体に大量のランサムウェアを展開することを可能にした唯一の要因だ」と主張し、特に「匿名での支払いが可能になったことが大きい。そして、これこそが米国人が懸念しているサイバー脅威だ」という。

こうしたクレブス氏の主張について、マー氏はIBMの報告書から1600の学校がランサムウェアの被害にあっていることを引用。クレブス氏はさらに「病院や政府機関、つまりボルチモアで2回、アトランタ、ノースカロライナ州メックレンバーグ郡、テキサス州の23郡、ルイジアナ州が2回攻撃を受けている」と具体例を示した。

マー氏は「彼らは金が欲しいだけだ。これは洗練された活動でも、イデオロギー的なものでもない」と批判した。

クレブス氏はこうした現状についてウォレットでの仮想通貨取引を監視することや、サイバー犯罪が多く発生している国に対して、米国を狙った違法行為を取り締まるよう圧力をかけること、州政府や地方自治体の防衛力向上を支援することなどを提言した。

最近ではランサムウェアが増加していることから、仮想通貨のイメージダウンに繋がっているようだ。最近の調査では仮想通貨が有効な支払い手段であると答えた回答者は43%に止まり、2020年に行われた別の調査では回答者の90%がマネーロンダリングに使われていることを懸念しているとした。

クレブス氏は2020年、大統領選についてトランプ氏が「大規模な不正や詐欺があった」とする主張について、「米国史上最も安全だった」と反論したことから、トランプ氏からCISA長官を解任されたことで話題を集めた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン