格付け会社フィッチ・レーティングスは16日、エルサルバドルに対し、ビットコイン(BTC)を法定通貨として採用しないよう警告した。法定通貨とした場合に為替リスクの他に規制や営業リスクから信用面でのマイナスになると主張した。

フィッチは、エルサルバドルがビットコインの高いボラティリティと市民の運用リスクについて警告。さらに、エルサルバドルが信用度の低い有価証券に継続的に投資していることを指摘し、「高リスク資産の追加保有は、このリスクをさらに高めることになる」と述べた。

エルサルバドルでは2021年9月7日からBTCが米ドルと並ぶ法定通貨として認められる「ビットコイン法」が施行される。これにより、エルサルバドルのすべての企業は、商品やサービスと引き換えにビットコインを受け取ることが必要となる。

フィッチは、保険会社が保険金や給付金の支払いにビットコインを採用することをためらうだろうと予測している。保険契約者がデジタル通貨での保険料支払いを選択した場合、保険会社は「為替リスクを抑えるために、できるだけ早くビットコインを米ドルに変換する」可能性が高いと推測した。エルサルバドルの保険会社は、2020年に同国の総資本の21%を占めた。

各国政府や指導者たちが、ビットコインが金融の主流になることの是非を検討し続ける中、エルサルバドルのアレハンドロ・セラヤ財務大臣は、国際通貨基金(IMF)に対して、同国が米ドルとビットコインの両方を使い続けることを主張した。

これに先立ち、エルサルバドルはIMFに13億ドルの融資を要請していたが、国連主導の組織であるIMFにとって利益相反となることが明らかになった。さらに、世界銀行もエルサルバドルのビットコイン法定通貨化への支援を取りやめている。