フィスコデジタルアセットが新株予約権付社債で42億円調達へ、Zaif事業の譲り受けのため

フィスコは10日、フィスコ仮想通貨取引所(FCCE)がテックビューロの仮想通貨交換所「Zaif」の事業を譲り受けるため、FCCEを親会社であるフィスコデジタルアセットグループ(FDAG)が新株予約権付社債(CB)を発行して42億円を調達すると発表した。

事業譲渡に伴い55億円の資金が必要とみており、42億円をCB発行でまかない、残り13億円をフィスコグループの現預金および仮想通貨から支出するとしている。

CBは第三者割当で実施。9月20日の流出事件の発覚時にテックビューロへの技術的支援を表明したカイカが29億円、ヴァルカン・クリプト・カレンシー・ファイナンシャル・プロダクツが11億円、イーフロンティアが2億円、それぞれ引き受ける。

ヴァルカンとイーフロンティアはフィスコの連結子会社であり、カイカもフィスコの持分法適用会社だ。フィスコは「迅速にZaifの利用者を保護するため、募集に時間がかからないグループ企業を割当先に選定した」と説明している。

Zaifのサービスに変更なく

テックビューロからFCCEへのZaif事業の譲渡は11月22日を予定している。

フィスコの発表によれば、Zaifについては運営会社が変更されるのみで、事業譲渡後も、サービスの変更なく、そのまま利用できるとしている。

移行作業に伴い、「一時的にサービスの一部を停止する可能性がある」としているが、取り扱う仮想通貨の種類にも変更はないという。

Zaifの獲得で顧客基盤強化へ

フィスコの発表によれば、Zaifの事業を取得することで、法人中心だったFCCEの利用者基盤強化につながるという。

これはFDAGの田代昌之社長がコインテレグラフとのインタビューの中でも指摘していた点だ。田代社長はFDAGとZaif、そしてフィスコグループとのシナジー効果を強調していた。

「ザイフは個人をターゲットにした取引所で口座数も多い。一方フィスコ仮想通貨取引所の法人向けのモデルでマーケティングのやり方が違う。これをもって筋がよいと判断した」

「(親会社である)フィスコの情報配信とのシナジー効果も大きく期待できる。ザイフの個人顧客、フィスコ仮想通貨取引所の法人顧客、フィスコの情報配信事業がミックスすればかなり大きなビジネスになるだろう、という話もある。<中略>(仮想通貨交換業者間の競争において)単純に資本力にものをいわせるいわば札束の戦いではない、独自の戦い方をしていく」(田代社長)

テックビューロは3期連続の赤字

今回の発表では、テックビューロの直近3年間の経営状況も明らかになった。

2018年3月期の売上高は5億4900万円で最終損益は19億7800万円の赤字。前の期についても売上高6億3700万円で、最終損益は2億4900万円の赤字だった。昨年末にかけて仮想通貨価格上昇で相場が盛り上がっていたが、テックビューロの経営実態は厳しい状況だったようだ。

フィスコ開示資料

フィスコ「持分法適用関連会社における事業の譲受けに関するお知らせ」より

ちなみに2017年10月にテックビューロがICOで調達した100億円は、今年7月に会社分割したテックビューロホールディングスに承継されているという。

補償の仮想通貨はカイカから

テックビューロの支援先のカイカもCB引き受けについて10日に発表している。それによれば、補償に必要な仮想通貨はカイカがFCCEに売却したものだという。

発表の中でカイカは29億円のCB引き受けについて、払込は7億900万円の現金払込とFDAGに対する21億9000万円の債券で相殺する予定としている。

この債券はFCCEへの仮想通貨売却代金の連帯保証債券。カイカによれば「仮想通貨はボラティリティが高い為、テックビューロの顧客に補償する仮想通貨にぶれが生じないよう、FCCEとしては早急に入手する必要があったことから、10月3日から4日にかけて当社〔カイカ〕と当社子会社である株式会社CCCTが仮想通貨をFCCEに売却したもの」という。

ただ流出した仮想通貨の顧客保有分は計45億円。現金で補償するモナコイン(MONA)の分を差し引いても39億円だ。補償する仮想通貨の一部がカイカが売却したものだとみられる。