ブロックチェーン上の不正取引を追跡する米チェイナリシス(Chainalysis)によると、大手仮想通貨取引所は誤った取引高情報の公開を止めたようだ。ただし、ビットフォレックス(BitForex)を含む複数の取引所では、より大きな市場動向と流動性を模した誤情報を示す可能性がいまだにあるという。
米チェイナリシス(Chainalysis)が11月15日、仮想通貨取引所の取引高に関する新たなレポートを公開した。同社は、真正な取引高情報を公開したと考えられている仮想通貨取引所10社を「ビットワイズ10(Bitwise 10)」と定義。ビットワイズ10は、バイナンス、ビットフィネックス、クラーケン、ビットスタンプ、コインベース、ビットフライヤー(bitFlyer)、ジェミニ、パクソスの取引所部門itBit、ビットトレックス、ポロニエックスで構成されている。
ビットワイズ10の取引高情報では、オンチェーン取引1BTCごとに取引高6BTCを記録
仮想通貨取引所がいう仮想通貨ビットコイン(BTC)の「オンチェーン取引」は、送金や取引すべての情報をブロックチェーン上に直接記録する取引を指す。ビットコイン本来の仕組みであるため承認に10分程度かかるほか、採掘報酬の支払いが必要になる。一方取引所における「オフチェーン取引」では、一般には取引開始と最終的な取引結果だけをメインチェーンに記録する。オフチェーンであるため取引所内で扱えるトランザクション(取引)量増加や処理高速化を実施しやすいものの、取引所外部からは情報の真正性を確認するのは困難がともなう。
そこで米チェイナリシスは、ビットワイズ10をサンプルとして採用し、疑わしい活動を発見すべく他取引所の取引高と比較したそうだ。
レポートによると、2018年1月から2019年11月までの期間において、ビットワイズ10の取引高とオンチェーン取引の取引高の平均比率を求めたところ、6:1であることを確認したという。顧客がビットコインを入金するなど、ビットワイズ10がオンチェーン上で受け取った1BTCにつき、約6BTC相当の取引高があったことを意味しているそうだ。
2018年と2019年で変化した12の取引所
米チェイナリシスは、ビットワイズ10以外の取引所25社も分析し、最終的に2018年におけるビットワイズ10の平均取引比率と大きく異なる12社を特定した。またこれら取引所は、ビットワイズ10のデータに近づく形で取引高が減少しているという。この12社は、フォビ(Huobi)、オーケーコイン(OKCoin)、アップビット、ビッサム(Bithumb)、Bit2c、ビットバンク(Bitbank.com)、ビットソー、コインチェック(CoinCheck)、コインフロア、コインワン(Coinone)、コービット(Korbit)、ザイフ(Zaif)となっている。
米チェイナリシスは、これら12取引所が2018年7月から2019年1月にかけて誤った情報を公開していた可能性が高いと結論付けたそうだ。ただし2019年以降はビットワイズ10の平均取引比率と近づいており、誤った取引高情報の公開を止めていることを示唆しているという。
(出典: 米チェイナリシス ビットワイズ10の取引高とオンチェーン取引の取引高の平均比率と、12取引所の平均比率の推移)
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版