トロン創設者のジャスティン・サン氏が、ドル連動型ステーブルコイン「ファースト・デジタルUSD(FDUSD)」の発行元であるファースト・デジタルが破綻していると主張したことを受け、FDUSDは4月2日にドルとの価格乖離を引き起こした。

これに対し、ファースト・デジタルは即座に反論を表明し、自社の財務状態は完全に健全であり、FDUSDは引き続き米ドルと1対1で裏付けられ、償還可能であると主張した。

同社はまた、今回の問題はFDUSDではなく、別のステーブルコインであるトゥルーUSD(TUSD)に関するものであると説明した。4月2日のX投稿で次のように書いている。

「FDUSDの裏付けとなるドルはすべて安全に管理され、米国債で担保されている。FDUSDの準備資産すべてのISIN番号は、我々の証明レポートに明記されており、正確に記録されている」

ファースト・デジタルは、ジャスティン・サン氏によるSNS上での発言に対し、法的措置を講じる意向も示した。同社の広報は「これは典型的なジャスティン・サン氏によるネガティブキャンペーンであり、自身のビジネスの競合を攻撃しようとする行為だ」と非難している。

Stablecoin, Justin Sun

FDUSDが一時ドルペッグを失う  Source: CoinMarketCap

 

準備金証明がFUDを防ぐ鍵となるか?

準備金証明(プルーフ・オブ・リザーブ)は、カストディ業者や仮想通貨企業、ステーブルコイン発行体が主張する準備資産を実際に保有していることをでオンチェーン上で証明する仕組みだ。

この証明手法では、ゼロ知識証明とマークルツリーと呼ばれるデータ構造が用いられ、従来の監査報告書や証明書に代わる手段として注目されている。

ただし、現行の準備金証明技術では負債情報まで完全には追跡できないものの、リアルタイムでオンチェーンに記録されない従来型の監査方式よりは透明性が高いと期待されている。

Stablecoin, Justin Sun

ファーストデジタルの準備金監査報告書  Source: First Digital

ファイナンス管理・監査プラットフォーム「トレス・ファイナンス」の創設者タル・ザッコン氏は、これまでの監査や証明書は「単なるスナップショット」であり、情報が操作されたり誤解されたりする余地があるとコインテレグラフに語っている。

ステーブルコインが今後、証券取引所、エスクローサービス、清算機関といったグローバルな金融インフラへと統合されていく中で、発行体には準備金の「リアルタイム・データ提供」が求められることになる可能性が高い。

その結果、これまで月次で開示されていた準備資産の報告が、今後は数分ごとに更新されるような体制への移行を迫られることになるだろう。