仮想通貨取引所ビットメックスのヘイズCEO、なぜリブラがビットコインにとって好材料か解説 他のアナリストと一線を画す

「フェイスブックの仮想通貨リブラはビットコインにとってポジティブだ」

18日のリブラのホワイトペーパー発表以降、多くのアナリストが上記のような分析。最近のビットコイン高騰の背景にもリブラがあると述べた。彼らが口を揃えて指摘する根拠は、「仮想通貨業界の信頼性を高めるから」。「フェイスブックも仮想通貨をやるのだから」と、世間の仮想通貨に対するイメージが回復するという話だった。

しかし、リブラがビットコインにとって追い風になるという本質的な理由は、他にあるのかもしれない。

100倍レバレッジで有名な仮想通貨取引所ビットメックスのアーサー・ヘイズ氏は、28日に配信したニュースレターの中で、リブラは「ビットコインにとってベストニュース」と指摘。ただ、他の多くのアナリストとは違う理由を述べた。

「リブラ発表の素晴らしい点は、金融プライバシーの損失を懸念する人々が危機迫って代替策を探すようになることだ」

ヘイズ氏が言う「代替策」とはもちろんビットコインだ。プライバシーや匿名性の観点でまだ課題は多いものの、プライバシーや個人の主権、経済的な独立といった思想をビットコインに込める人々も多い。

以前、ヘイズ氏はキャッシュレス化が進む中、人々はマネーにおけるプライバシーという大切なものを失ったことに気づくと指摘。政府や中央集権的な企業の管理下に置かれる金融システムにおいて、例えば「10ドル札をおろしてマリファナを買ってたけど、もうできなくなるじゃないか」と言うことに人々が気づいた時、代替策であるビットコインの価値が上がるというのはヘイズ氏の以前からの持論だ。

「リブラ発表を受けて突然、多くの人々が金融面での自由の損失について文句を言い始めているのを見て驚いているよ。その恐怖は見当違いだ。金融プライバシーというのは既に存在していない。デジタル法定通貨のシステムにおいて存在することはあり得ない」

フェイスブックのリブラは、法定通貨のバスケットに連動するステーブルコイン。フェイスブックであろうが、FRBや中国人民銀行が発行するデジタル通貨だろうが、デジタル法定通貨のシステムではプライバシーの保護があり得ないという点でみんな同じだと指摘する。

ただ、ヘイズ氏はリブラの発表によって「好奇心を持った平民」がデジタル時代において金融プライバシーの確保をどうやろうか考え始める点が、ビットコインや仮想通貨業界全体にとってプラスになるとみている。

ちなみにヘイズ氏は、「デジタル法定通貨のシステム」の中での競争においてはリブラが優勢とみている。「一般利用者に関するベストな情報を持つ」ためローンを組む上で伝統的な商業銀行より有利になり、中央銀行のような役割を担うようになると述べた。

避けられないであろうデジタル法定通貨システムの時代。現金がなくなった時、決済手段としてだけではなく金融プライバシー確保の手段としてビットコインが差別化を図れるか。今後の大きな焦点になるだろう。

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