欧州連合(EU)の欧州委員会はこのほど、ブロックチェーン事業における公共調達(PCP)の入札募集を開始した。入札期間は2021年1月28日まで。

PCPとは、新しい技術をニーズに適応させるために、商業化前の研究開発サービスを公的機関が民間から購入することをいう。

欧州委員会は、PCPを、最もコストパフォーマンスの良いサービスプロバイダーを選ぶプロセスと説明。PCPではまず、複数のプロバイダーと研究開発契約を同時に結ぶ。そして、ソリューション開発やプロタイプ開発、テストといった研究開発段階のフェーズに合わせてプロバイダーの数を減らしながら、段階的に企業や候補者を絞り込んでいく。

このPCPの目的は、一般データ保護規則(GDPR)、eIDAS規則NIS指令などのEUの法的枠組みに基づいて構築されたブロックチェーンの新たな用途の開発だ。

既存の取り組みをベースに、PCPは欧州ブロックチェーン・パートナーシップ(EBP)と協力して実施されるようだ。

EBPは2018年4月、欧州ブロックチェーンサービスインフラストラクチャ(EBSI)の確立を目的に結成された。EBSIはブロックチェーン技術を利用して、EU全体で国境を越えた公共サービスのプラットフォーム構築を目指している。しかし、現在EBSIが行っている取り組みは、既存のブロックチェーン技術を用いて簡単に実装できるユースケースのみだ。

そのため、PCPはEUの法的枠組みやセキュリティ、堅牢性、相互運用性、持続可能性に準拠するような複雑なオーダーメイドのシステムに、ブロックチェーンを適用できるようにすることが狙いだ。

コインテレグラフが報じたように、9月にECとEBPは2022年までに汎欧州規制サンドボックスを立ち上げる計画を発表。今回の入札募集は、ブロックチェーンと分散型台帳技術への投資に対するEUのコミットメントをより強固なものにするものと思われる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン