欧州証券市場監督局(ESMA)は1月29日、仮想通貨規制「MiCA」の実施に向けたガイドラインの草案を2つ発表した。同草案では、逆勧誘と仮想通貨が金融商品として適格かどうかが検討されている。

「逆勧誘」とは、顧客が自ら業者に仮想通貨サービスの提供を申し込む行為を指す。MiCAの例外規定により、第三国に所在する仮想通貨業者は、この逆勧誘のみを通じて欧州連合(EU)の顧客にサービスを提供することが可能となっている。

ESMAの報告書によると、第三国業者は「EU内でCASP(仮想通貨サービスプロバイダー)サービスを提供する権限がないため、顧客が独自に業者に連絡してサービスを要求した場合に限り、サービスを提供することができる」という。ESMAは、逆勧誘を第三国業者に対する一部例外であると捉えており、次のように述べている。

「ESMAと各国の権限当局は、EUに所在する投資家とMiCAに準拠した仮想通貨サービスプロバイダーを、EU域外およびMiCAに準拠していない事業者からの不当な侵入から積極的に保護するために、必要なすべての措置を講じる。」

ESMAは、金融商品市場指令2014(MiFID II)に基づき、各国の規制当局向けのガイドラインを提案した。オンラインバナー広告、スポンサー契約、インフルエンサーや著名人の推薦など、直接的な募集方法がガイドラインの対象となっている。第三国CASPによるフォローアップサービスも、ガイドラインの対象となる。パブリックコメントの締め切りは2024年4月24日だ。

ESMAはまた、「仮想通貨の金融商品としての適格性に関する条件と基準」についても意見を募集している。金融商品とは、金銭に関する契約があるもののことで、金融商品と認定された場合、仮想通貨は、MiCAではなくMiFID IIの規制の対象となる。MiCAでは、ESMAは年末までに、MiCAとMiFIDの金融商品に対する要件を区別し、各国レベルでの一貫したアプローチを構築することが求められている。

MiFID IIには、金融商品の一般的な定義は存在しない。付属書に金融商品の例が示されているが、そのために各国レベルでの調和が欠けている。報告書は、「金融商品に対する共通の定義と共通の基準の欠如により、これらの草案ガイドラインにおいて包括的なアプローチを採用することがより困難になる」と指摘し、次のように述べている。

「ただし、仮想通貨が金融商品とみなされるかどうかの評価は、ケースバイケースで行う必要がある。ガイドラインは、この文脈で収束した慣行を促進することを目的としたものである。」

金融商品とみなされるためには、仮想通貨は、有価証券、短期金融商品、投資信託の受益証券、デリバティブ契約、排出量取引権のいずれかに定義される必要がある。パブリックコメントの締め切りは2024年4月19日。