仮想通貨ベンチャーに積極投資しているアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は、ネットワークの高額な取引手数料にも関わらず、イーサリアムの開発と需要は「比類のないもの」であると強調している。

しかし、同社は「その人気は諸刃の剣でもある」と警告している。イーサリアムがスケーリングよりも分散化を優先しており、競合するブロックチェーンが「より良いパフォーマンスとより低い手数料」で市場シェアを奪っているからだ。

a16zは2022年版の「State of Crypto」レポートを公開した。このレポートでは、仮想通貨分野における重要な5つのポイントを取り上げ、イーサリアム、Web3、分散型金融(DeFi)などのトピックに焦点を当てている。

レポートのデータによると、イーサリアムは開発者からの関心の上で競合他社を凌駕している。月間アクティブ開発者の面で、イーサリアムは4000人となっており、2位のソラナ(SOL)の1000人を大きく上回っている。さらにビットコイン(BTC)は500人で3位、カルダノ(ADA)は400人で4位となっている。

レポートは、取引コストが高いにも関わらず、ネットワーク上での開発が増加し続ていることの意義を強調している。

「イーサリアムの圧倒的なマインドシェアは、ユーザーがブロックチェーンを使用するためだけに1日あたり平均1500万ドル以上の料金を支払っている理由を説明するものになるだろう。このような若いプロジェクトでは注目に値するものだ」

イーサリアムの需要は、7日間平均での推定取引手数料でみることができる。データによれば、イーサリアムは1524万ドルを占めるようになっており、対照的にBNBチェーンやアバランチ、ファントムう、ポリゴン、ソラナは、すべて合わせても約250万ドルになる。

Layer-1 Transaction fees: a16z

レイヤー2ソリューションがイーサリアムの手数料を引き下げ、トランザクションを高速化させるために取り組んでいるとレポートは指摘する。またネットワークをより効率的で費用対効果の高いものにするアップグレードもイーサリアムでは控えている。

ただ待望のアップグレードはまだ実現していない。a16zのレポートによれば、30日間平均で、ソラナ、BNBチェーン、ポリゴンなどの競合ブロックチェーンのアクティブアドレスとトランザクションが既にイーサリアムが大きく上回っている。

データによれば、イーサリアムには550万のアクティブアドレスがあり、1日あたり110万件のトランザクションがある。ソラナの場合には1540万のアクティブアドレスがあり、1日あたり1530万件のトランザクションがある。BNBチェーンでは、アクティブアドレス940万、トランザクションは500万件となっている。

レポートでは、ブロックチェーンの世界は勝者総取りという状況にはならず、「イノベーションの余地は多くあり、複数の勝者が生まれるだろうと考えている」と書いている。