イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、12月に予定されている「Fusaka」アップグレードによって、ノードがブロックチェーン全体をダウンロードせずにデータの可用性を検証できるようになり、拡張性が向上すると述べた。
ブテリン氏は9月25日、「Fusaka」に搭載される中核機能「PeerDAS(Peer Data Availability Sampling)」によって、現在のデータ可用性の制約が解決に近づくと説明した。
「PeerDASは、単一のノードが全データをダウンロードする必要のないライブ・ブロックチェーンを実現しようとしている。これは極めて前例のない試みであり、L2のスケーリング、さらにはL1のスケーリングの鍵となる」
PeerDASでは、各ノードがブロックチェーン全体をダウンロードする代わりに小さな「チャンク」を取得し、統計的サンプリングを通じてネットワーク全体に完全なデータが存在することを保証する仕組みを取る。
この技術は、2024年1月に提案されたイーサリアム改善提案(EIP)7594で初めて導入されたもので、データの一部だけをダウンロードしながら「ブロブデータ」が確実に公開されるよう設計されている。
EIP文書には「追加のデータ可用性を提供することは、L2ロールアップの拡張に資する。ロールアップの最大のボトルネックはL1データ可用性にある」と記されている。
ブロブ利用が過去最高に到達
ブテリン氏の発言は、ドラゴンフライのデータ部門責任者イルデベルト・ムリエ氏の投稿に応じたものだった。ムリエ氏は、9月24日にネットワークが初めて1ブロックあたり6ブロブの目標に到達したと指摘した。
ムリエ氏によると、このブロブ使用量の急増は主にコインベースのL2「Base」とワールドコインによるものだという。
ブロブは、2024年3月に実装された「Dencun」アップグレードのEIP-4844で導入された特別なデータストレージ形式で、L2ロールアップの取引コストを削減することを目的としている。
Fusakaアップグレードでブロブ数が倍増へ
12月3日に予定される「Fusaka」アップグレードでは、EIP-7594が導入されると同時に、現在の1ブロックあたり6/9(目標/最大)のブロブ容量が倍増する。
ブテリン氏は「これはすべて新しい技術であり、コア開発者たちが何年も作業を続けてきたとしても、テストでは極めて慎重であるべきだ」と強調した。
また同氏は「そのため当初はブロブ数の増加を控えめにし、時間をかけて段階的に引き上げていく」と述べ、最終的に大幅なスケーラビリティ向上につながると結んだ。
イーサリアム研究者クリスティン・キム氏によると、「Fusaka」稼働後には2回の「BPO(Blob Parameter Only)」フォークが実行され、最大ブロブ数はまず9から15へ、さらに2025年1月には21まで引き上げられる予定だという。
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