仮想通貨イーサリアムが日本時間で4日、1600ドルを突破し史上高値を更新している。これまでの24時間で20%上昇したかたちだ。一方でイーサリアムのネットワーク上で分散型金融(DEFI)やアプリを動作させるために必要な「ガス代」と呼ばれる手数料も高騰しており、初心者にはとっつきにくくなっている。

イーサリアム取引手数料の平均は現在17.67ドルと過去最高値だ。

複雑なスマートコントラクトを動かす費用に10万円単位の手数料がかかるケースもでてきており一部ユーザーからは悲鳴が上がっている。

海外のイーサリアムユーザーであるOlive Allenさんは、NFTと呼ばれる非代替性の仮想通貨を使ったデジタルアートの取引で50万円以上の手数料がかかったとしてスクリーンショットを公開している。

「デジタルアートの入札を受け付けるのに5000ドル近くかかるみたいだ。イーサのガス代が高いからか、それとも何らかのバグだろうか?」(同氏) 

分散型取引所として有名なユニスワップ(Uniswap)やスシスワップ(Sushiswap)でも、簡単なスワップ取引で40~75ドルの手数料が発生している。

あるユーザーはスシスワップにおける75ドルの取引で74ドルの手数料がかかったとしており、取引を行う経済性がないとコメントしている。

イーサリアムのスケーラビリティ(拡張性)やガス代の問題については、スタートアップのオプティミズム等が取り組む「ロールアップ」がある。イーサリアム上で石油等の取引を可能にするSynthentixなどがこの手法を採用しはじめたが、高騰するガス代問題を克服できるかに注目が集まる。

さらにイーサリアムを向上させるための技術提案「EIP1559」を通して取引コスト削減を目指す動きもある。先月にはテストネットも大きく進捗しており期待される解決策だ。イーサリアムの共同創始者であるヴィタリック・ブテリン氏が推しているが、イーサリアムを採掘するマイナーのコミュニティには反対する動きもあり実施に至るかは未確定だ。

仮想通貨ファンドの米グレイスケールによると「EIP1559」はイーサリアムを「焼却」する手法を用いており、実施されればイーサ相場にとって大きな強気材料になるとしている。