マイケル・セイラー氏のビットコイン戦略に触発され、ジョセフ・ルービン氏はイーサリアムのトレジャリー企業が、ビットコイン関連企業を上回る利回りと投資機会を提供できると語った。
シンガポールで開催された「Token2049」でコインテレグラフの独占取材に応じたルービン氏は、セイラー氏の「ストラテジー・ビットコイン・プレイ」に倣ったビットコイントレジャリー運動よりも、イーサ(ETH)を基盤とするデジタル資産トレジャリー(DAT)の方が優れた可能性を持つ理由を説明した。
「私はより大きな影響力を持つ資産を選びたいと考えています。ビットコインと同等の堅牢性を持つだけでなく、取引やストレージのために支払うという有機的な需要がある点で、より堅固だと主張したい」とルービン氏は述べた。
ルービン氏は、ETHを基盤とするトレジャリー企業「シャープリンク・ゲーミング(SharpLink Gaming)」の会長に就任後、ETH DATの普及を積極的に推進している。
ナスダック上場のiGaming企業であるシャープリンクは、8月にトレジャリー戦略を採用して以来、20億ドル超のイーサを購入した。
マイケル・セイラーに触発
ルービン氏は、自身がETHトレジャリー企業の指揮を執るきっかけは、ビットコインを準備資産とするセイラー氏の財務戦略にあったと認めた。
「昨年12月に彼と夕食を共にし、その戦略の理由を直接聞く機会がありました。それは自社にとってより良いトレジャリー資産を見つけるための試みだったのです」とルービン氏は語った。
「仲間たちと話し合った結果、イーサの方がはるかに優れたトレジャリー資産であることは明らかだという結論に至りました。なぜならイーサは生産的な、利回りを生む資産だからです。」
ルービン氏はイーサリアムの中期的な将来に強気の見方を示した。2025年には「ブロードバンド期」に達し、プロトコルが水平的にも垂直的にも拡張性を高め、より安価で豊富なブロックスペースの利用が求められるようになると述べた。
ルービン氏はまた、過去18か月間でイーサリアムが急速にスケールした結果、「ブロックスペースの供給過剰」が生じ、十分な開発者やアプリケーション、トランザクションが追いつかない状況にあったと指摘した。
「エコシステムに停滞感があったと感じていました。それは価格の問題でした。イーサの供給量が多く、ブロックスペースも過剰だったのです」とルービン氏は語った。
その解決策はETH DATのムーブメントを起こし、プロトコルの基盤トークンを積極的に取得・ステーキング・投資することだった。
「私たちはイーサリアムのエコシステムに再び火をつけられるのではないかと考えました。そして実際にうまく機能しました。すでに複数の企業が参入し、それぞれが興味深い形で差別化を図っています」と語った。
供給と需要の力学がイーサを押し上げる
イーサリアムDAT市場は急速に拡大しており、現在はルービン氏のシャープリンクとトム・リー氏のビットマイン(BitMine)の2社が主導的な存在となっている。
後者のビットマインは巨大な保有量を誇る。リー氏の強気なイーサ見通しに基づき、同社は水曜日時点で265万ETH(約110億ドル相当)を保有しており、シャープリンクの83万9,636ETH(約36億9,000万ドル)を大きく上回る。
ルービン氏は、当初はETHを迅速に積み上げる「スプリント」を想定していたが、リー氏が公に「イーサ全体の5%を取得する」と発表した後、方針を見直したと語った。
「私たちは具体的な上限を設けてはいませんでしたが、あまりに多くのETHを積み上げると、エコシステム全体から反発を受けかねないと考えていました。」
ルービン氏の長期目標は、1株あたりのETH保有量(完全希薄化ベース)を増やしつつ、株価を維持することにある。その後、シャープリンクはステーキングしたイーサからの利回りを継続的に得る方針だ。
将来的には、ETHを担保に借り入れを行い、イーサリアム関連企業への投資や関連プロトコルでのステーキングを進める構想を描いている。
「目指すべき真の機会は、次のグローバル経済、つまりより分散化された世界経済におけるバークシャー・ハサウェイになることです。」
リスク評価
DATムーブメントは2025年を象徴するメタナラティブの一つになるだろう。しかし懐疑的な見方もあり、プロトコル・トークンの購入資金として多額の負債を抱えるトレジャリー企業のリスクを懸念する声もある。
ルービン氏は、DATによって市場が崩壊するとの懸念を退けつつ、過剰なレバレッジには注意が必要だと強調した。
「最大のリスクは、このような取り組みを“しない”ことです。これは非常に本質的な新しい仕組みなのです。」
ルービン氏は、ETH DATによる買いが供給と需要のバランスを引き締め、ETH価格を押し上げると見込んでいる。
「金融業界が私たちのエコシステムに流れ込んでいます。他の企業も次々と参入しています。これが私たちの“ブロードバンド期”なのです。いま、誰もが私たちの活動に真剣な関心を寄せています。私たちは暴走しません」と述べた。
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