暗号資産市場が少なくとも4月初旬まで世界的なマクロ経済懸念の影響を受けると予想される中、イーサ(ETH)がさらなる上昇の勢いを得るには、2,200ドルを超える「マクロレンジ」を取り戻す必要がある。
TradingViewのデータによると、ETH価格は2024年12月16日に4,100ドルを超えてピークをつけた後、過去3カ月間で51%以上下落している。
ETH/USD, 1-day chart. Source: Cointelegraph/TradingView
この下落トレンドから反転するには、ETH価格が2,200ドルを超える「マクロレンジ」を再び取り戻す必要があると、著名な暗号資産アナリストのRekt Capitalは3月19日のX投稿で述べている。
「ここで十分に強い反応が得られれば、#ETHは2,196~3,900ドルのマクロレンジ(黒)を再び取り戻せるだろう」
ETH/USD, monthly chart. Source: Rekt Capital
一方で、ETHの建玉(オープンインタレスト)は3月21日に過去最高を更新し、大口トレーダーが2,400ドル超の上昇に備えてポジションを取っているとの期待が広がっている。
Ether futures aggregate open interest, ETH. Source: CoinGlass
米証券取引委員会(SEC)がリップルに対する訴訟を取り下げるなど、暗号資産を巡る規制環境には前向きな動きが見られるにもかかわらず、ETHは大きな上昇モメンタムを得られていない。
一部のアナリストは、伝統的市場および暗号資産市場が、報復関税を巡る国際的な貿易戦争の懸念により少なくとも4月初旬までは圧迫され続けると見ている。
ETHを買っているのはクジラだけ=ナンセンアナリスト
市場の下落について一部トレーダーは大口投資家(いわゆる「クジラ」)を非難することが多いが、彼らは単に「どちらの方向にもポジションを取っているだけ」だと、調査会社ナンセンのリサーチアナリスト、ニコライ・ソンダーゴー氏は述べた。
ソンダーゴー氏は3月21日にコインテレグラフのXの番組「Chainreaction」でこう語っている。
「1万〜10万ETHを保有するクジラは実際にETHを蓄積している一方で、それ以外の層は売却している」
The Crypto Debanking Crisis: #CHAINREACTION https://t.co/nD4qkkzKnB
— Cointelegraph (@Cointelegraph) March 21, 2025
Glassnodeのデータによると、10万ドル以上のETHを保有するアドレス数は、3月10日の7万件強から3月22日には7万5,000件以上に増加している。
ETH: Number of Addresses with Balance ≥ $100k. Year-to-date chart. Source: Glassnode
一方、2024年12月8日にETH価格が4,000ドルを超えていた時点では、10万ドル以上を保有するアドレス数は14万6,000件以上に達していた。
短期的には価格変動の可能性があるものの、2025年後半に向けては投資家の楽観的な見方が続いている。ヴァンエックは2025年にETHが6,000ドル、ビットコイン(BTC)が18万ドルに達すると予測している。