2022年にイーロン・マスク氏がツイッター買収後に支持を表明した決済・バンキングアプリ「Xマネー」が、ベータテストを開始した。マスク氏は5月25日のX投稿でこの事実を認めた。
「Tesla Owners Silicon Valley」というマスク氏とテスラに特化したファンアカウントは、5月25日にマスク氏が「Xマネーを間もなく開始する」と発言したことを報告した。
その後マスク氏本人がこのスレッドに登場し、ニュースを確認。テストについて「最初はごく限られたアクセスのベータになる」と述べた。
「人々の貯蓄が関わる以上、細心の注意が必要だ」と投稿した。
Xマネー、2025年に正式ローンチへ
マスク氏のこの発言は、Xマネーが今年中にローンチされる計画であることを示すXマネー公式アカウントの投稿を受けたものである。
今回のマスク氏による静かな「Xマネー試験運用の確認」は、1月に報じられたソフトウェアコードのリーク情報を受けたものと見られている。
Xは米国全土でXマネーの送金事業ライセンスを複数取得するため積極的に動いており、記事公開時点で全米マルチステート・ライセンシング・システム(NMLS)によれば41件のライセンスを取得済みとされている。
Xマネー構想は2022年にさかのぼる
マスク氏がXに決済機能を統合しようとする計画が公になったのは、2022年10月までさかのぼる。このときマスク氏は、440億ドルでのツイッター買収を「すべてを集約したアプリ『X』をつくるための加速剤」と表現していた。
2023年にはツイッターが「X」へとブランド変更され、CEOのリンダ・ヤッカリーノ氏は、SNSアプリが「無制限のインタラクティビティ」に対応し、マルチメディア形式をサポートし、決済やバンキング機能も備える予定であると語っていた。当時からビットコイン(BTC)などの暗号資産に対応するとの憶測も広がっていた。
当初は2024年半ばのサービス開始が予定されていた。
Xマネーは、2025年1月にドナルド・トランプ大統領が就任し、マスク氏を政府の効率化部門「Government Efficiency’s Workforce Optimization Initiative(通称DOGE)」の責任者に任命したことで、さらに加速したとみられている。
政権運営に深く関わるようになったマスクに対して、米上院の民主党議員エリザベス・ウォーレン氏などは早くも批判を展開。今年2月にはXの決済構想に対し、「マスクはXで巨額の損失を出してきた。そこで今度は全員の金融データを手に入れるプラットフォームを作ろうとしている」として、消費者金融保護局(CFPB)を解体しようとするマスク氏の動きを非難した。