分散型アプリ(dApps)分析サイトDApp.comが1月20日、「2019年次dApps市場レポート」を発表した。9つの主要仮想通貨・ブロックチェーンのネイティブトークンからなる2019年合計取引高は100億ドル(約1兆1000億円)に達したという(ERC-20規格トークン除く)。2018年の金額と比較し、58.5%増加した。
2019年のアクティブユーザー数は、2018年の148万人から311万人に倍増。ただし、新規ユーザーが277万人となっており、以前から利用し続けているユーザー数は約34万8000人にとどまっているという。また2019年は32億6000万件以上のトランザクション(取引)が発生したものの、そのうち仮想通貨EOS上のEIDOSスマートコントラクトだけで約23億8600万件を占めていた。
(出典: 分散型アプリ(dApps)分析サイトDApp.com 「2019年次dApps市場レポート」)
金融サービスは、2019年に最もユーザーを獲得した分野となったファイナンス系dAppsのユーザー数は610%増加し、取引高が251%増となった。ギャンブルユーザーは372%増加し、取引高は2倍になった。
ブロックチェーンゲーム系のユーザー数は162%増。一方ゲーム系広告は2018年と比較し60%低下した。
レポートの見所のひとつは、2019年11月1日に開始されたEOSブロックチェーン上のEIDOSスマートコントラクトの存在だ。2020年になるまでの2ヵ月間で約24億件のトランザクションを獲得した。これは、指定アドレスにEOSを送ると、このアドレスが保有しているEIDOSトークンの0.01%と、最初に送付したEOSを返送するというもの。また毎秒25EIDOSを生成しており、20EIDOSをエアドロップ(無料配布)として利用し、5EIDOSはEIDOSチームに送付しているという。EIDOSチームは、EOSの兄弟チェーン「YASネットワーク」およびYASトークン、分散型取引所「EIDOS CODEX」の立ち上げをうたっている。
継続ユーザー確保が課題に
EIDOSを除き、9プラットフォームのアクティブユーザー数は、2018年の148万人から2019年は311万人に倍増。ただし、新規ユーザーが277万人で、2018年から利用し続けているユーザー数は全体の11%にあたる約34万8000人にとどまった。
また11月以前、EOSは1日あたりのアクティブユーザー数が最も多いブロックチェーンで、毎日平均8万人がdAppsを利用していたが、EIDOS開始以来80%減少。1万5000人超程度となった。
イーサリアム
アクティブなイーサリアム(ETH)dAppsのユーザーのほぼ半数が分散型金融(DeFi)アプリを利用。ETHで生成される取引高の70%は、DeFiおよび金融サービスによるものだった。またETH市場には、20万人以上のゲームユーザーが存在し、EOSおよびトロン系ゲーマーの合計の2倍となっている。
(出典: 分散型アプリ(dApps)分析サイトDApp.com 「2019年次dApps市場レポート」)
EOS
既報の通り、EIDOSトークンのエアドロップとともにEIDOS/USDT(テザー)の取引が開始。EIDOSをUSDTに交換する人が増えた結果、EOSブロックチェーンが渋滞した。仮想通貨取引所コインベースは、「現時点で、EOSの全ての取引活動の95%近くがEIDOSの契約だ」と伝えた。これは、CPUリソースが比較的少ない平均的なユーザーがトランザクションを送信できなかったことを意味するという。
EOS上で構築された主要なdAppsが、ゲーム系アセットの売買への注力をうたい、EOSIOコードをフォークした「ワールドワイド・アセット・エクスチェンジ(WAX)」ブロックチェーンへの移行を発表した。
(出典: 分散型アプリ(dApps)分析サイトDApp.com 「2019年次dApps市場レポート」)
トロン
2019年、トロン(TRX)は、ETHに次いで2番目に大きなdAppsコミュニティとなった。2019年に100万人近くのアクティブユーザーを獲得したという。アクティブユーザーおよび取引高の75%以上は、ギャンブル性の高いdApps由来となっている。
(出典: 分散型アプリ(dApps)分析サイトDApp.com 「2019年次dApps市場レポート」)
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン