欧州委員会のデジタルイノベーション・ブロックチェーン部門の責任者を務める、ぺトリアス・ジルガルヴィス氏は、フィナンシャルタイムズの子会社The Bankerのインタビューで、分散型台帳技術(DLT)の利点について語っている。
同氏によると、ブロックチェーンはデータ共有のための強力なフレームワークを提供する。これは、通常のデータベースでは実行できないものだ。
「様々な利害関係者が協力する必要があるが、競争や法的な理由により、単一つのデータべースを共有したくない。または共有できない場合に優れたテクノロジーを提供すると、私たちは考えている」
同氏は、ブロックチェーンは「すべてのソリューション」ではないが、DLTが文書認証や規制報告などのアプリケーションによって「30%~80%の効率化」をもたらすと付け加えた。
ヨーロッパでのデータ共有
ブロックチェーンの分散化された性質は、EUの文脈でも貢献することになりそうだ。EUは本部があるブリュッセルにデータを集めることなく、加盟国間でデータを調整する方法を模索している。
これは公共サービスをヨーロッパ全体にもたらすのを目的とする、ヨーロッパ・ブロックチェーン・サービス・インフラストラクチャ(EBSI)の背後にある考え方だ。EBSIの潜在的な用途の1つは、たとえば、マネーロンダリング防止の取り組みで収集されたクライアントデータを共有することにより、ヨーロッパの銀行を接続することだ。
ジルガルヴィス氏は、銀行は競争やユーザーのプライバシー規制のため、データ共有をためらっているため、この課題はみかけよりも大きなものであると指摘している。
ジルガルヴィス氏氏が指摘したように、ヨーロッパでのブロックチェーンの取り組みは技術的というよりも政治的な側面でより多くの問題があるようだ。
「最大の課題はガバナンスだ。ブロックチェーンの最適なユースケースは、1つの企業または事業体ではなく、多くの参加者がいるものだ。しがって、ガバナンスが重要となる」
ジルガルヴィス氏によれば、技術面については、スケーリング、コンセンサスメカニズム、プライバシーの改善といった取り組みが行われているという。
ブロックチェーンと仮想通貨
ジルガルヴィス氏によれば、EUでのブロックチェーンの取り組みは、中国のような一部の国とは異なり、仮想通貨に対する緩和姿勢と結ぶ付いている。
同氏は、仮想通貨はあらゆる通貨と同じ原則に沿って規制されており、将来の変更はすべて、イノベーション推進の精神のもとで行われると付け加えている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン