アラブ首長国連邦(UAE)のドバイの道路運輸局(RTA)は、ブロックチェーン技術を用いた車両のライフサイクル管理システムを20年に開始する計画だ。製造元からスクラップ場へ行き着くまでの車両の履歴を顧客に提供する。地元報道機関のアラビアン・ビジネスが先月27日に伝えた

 同事業では、車両それぞれが現在どの過程にいるのかを明らかにする。まずはドバイから開始し、UAE全土へと事業範囲を広げていく。

 RTAのマター・アル・テイヤー議長兼事務局長によれば、この車両ライフサイクル管理システムは、信頼できる車両履歴を提供する世界初の政府プラットフォームとなる予定だ。「このプラットフォームは、車両メーカー、ディーラー、規制当局、保険会社、買手、売手、修理工場など多岐に渡り恩恵をもたらす。車両取引きにおける透明性を確保し、揉めごとを防ぎ、コストの削減などが期待できる。所有権、販売履歴、事故履歴を追えるようにすることで、効率的なサプライチェーン構築につながる」と話している。

 同プロジェクトではIBMを戦略構築コンサルタントとして起用する考えだ。将来的には、ドバイの税関、警察、経済開発局、首長国規格・計量協会(ESMA)、内務省などとも協力する計画という。

 ドバイは、20年までにブロックチェーン政府になるという目標を掲げている。今回の車両ライフサイクル・ブロックチェーン・イニシアチブは同計画の一環。昨年10月には、ドバイ独自の仮想通貨「emCash」の発行を計画していると発表した。また、ブルックリンに拠点を置くブロックチェーン企業と共同で、イーサリアム・ブロックチェーン開発者のためのトレーニング事業を主催した。