米国のトランプ大統領は、ステーブルコインに関する包括的な規制法案「GENIUS法(ステーブルコイン国家革新指針法)」を早急に成立させるよう下院に求めた。

「上院が驚異的な法案を可決した。これによりアメリカはデジタル資産の“絶対的リーダー”になる」。トランプ氏は19日に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」上でこう述べ、下院に対して「超速で」法案を可決するよう要求。「すぐに私の机に持ってこい。遅延も追加条項も許さない」と投稿した。

Source: Donald Trump

この呼びかけは、17日に米上院がGENIUS法を68対30の賛成多数で可決したことを受けたもの。今後は下院での採決が控えており、こちらでも共和党が僅差だが多数を占めている。

ドル覇権維持に寄与するとの期待も

GENIUS法を支持する議員や専門家は、この法案が米ドルの国際的な優位を維持する上で極めて重要になると見ている。

法案を提出したビル・ハガティ上院議員は、「この法案により、あらゆる規模の企業、そして米国の国民が、従来のように数日、あるいは数週間も待つことなく、ほぼ即時に決済を行えるようになる」と述べた。

仮想通貨関連法案はかつて頓挫も

GENIUS法はもともと5月に上院での動議に失敗しており、その背景には複数の民主党議員が、トランプ氏と仮想通貨業界との関係性に懸念を示したことがある。

この法案に対して最も強く反対しているのがエリザベス・ウォーレン上院議員で、同氏は「この法案が通れば、トランプ氏とその家族はステーブルコインUSD1によって数億ドルを稼ぐことになる」と批判している。

一方、同じく民主党のマーク・ワーナー氏は、トランプ氏の仮想通貨事業に疑問を呈しつつも、「米国はいつまでも傍観していられない」と述べ、業界の進展に合わせた対応の必要性を認めた。

ステーブルコイン発行の明確なルールを構築へ

GENIUS法は、米ドルと連動した決済用ステーブルコインに関する規制枠組みを整備するものだ。その内容には、ステーブルコインの発行にあたって1対1の全額準備による裏付けを義務づけること、発行者が連邦レベルまたは州レベルでのライセンスを取得すること、マネーロンダリング対策を遵守すること、そして十分な消費者保護措置を導入することなどが盛り込まれている。

さらに、ステーブルコインの発行者には、準備資産の用途を制限する条項も含まれる。具体的には、償還や、低リスクの財務省短期債(レポ取引など)への投資といった、安全性の高い目的に限定される見通しであり、シャドーバンキング的なリスクを防ぐ設計となっている。

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