コインベースの最高法務責任者であるポール・グレワル氏は、トランプ米大統領の仮想通貨ビジネスが、仮想通貨法案の審議に及ぼす影響についてコメントした。

グレワル氏は5月15日、カナダ・トロントで開催されたコンセンサス・カンファレンスに登壇した。同氏は、米上院銀行委員会が3月に「米国ステーブルコインの国家的イノベーションの指針と確立に関する法案(通称GENIUS法案)」を可決して以降、議会内での法案議論が停滞していると述べた。

法案には「本質的に解決すべき重大な論点」が存在するとしたうえで、グレワル氏は、トランプ氏の仮想通貨への関与が「事態を複雑にしている要因」となっている可能性を指摘した。

「大統領が特定のミームコインやプロジェクトを支援しているという話題は、スポット市場をどのように規制するかについて民主・共和両党の足並みを揃えるうえで障害になっている」と語りつつ、「上院と下院がその問題を乗り越えると信じている」との見解を示した。

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コインベースのポール・グレワル氏(右) Source: Cointelegraph.

実際、エリザベス・ウォーレン上院議員などの民主党議員は、トランプ氏の家族が関与する仮想通貨プロジェクト「ワールド・リバティ・フィナンシャル」およびその発行するステーブルコイン「USD1」を名指しで批判し、GENIUS法案への反対理由として挙げている。

一方、同法案を支持するキルステン・ジリブランド上院議員は、自身が提出した初期案から「大統領の仮想通貨事業に関連する記述を削除する」と表明しており、法案修正の可能性を示唆した

民主党が懸念していた消費者保護、マネーロンダリング対策、国家安全保障に関する文言について、改善の約束を得たことで「重要な勝利を収めた」と、5月15日付のパンチボウルは報じている。これにより、上院は数日のうちに再び採決を行う見通しとなっている。

ステーブルコイン法案の次は?

下院では現在、2024年5月に下院を通過した「FIT21法案」の派生版とされる、デジタル資産市場構造に関する新たな法案が検討されている。しかし、民主党の一部からは、同法案に対しても「トランプ氏による仮想通貨汚職」の懸念が示され、強い反発がある。

グレワル氏はこうした状況について、「今後数日間でステーブルコインに関する法案にどのような進展が見られるかによって、他の問題にどの程度本気で取り組む姿勢があるかが見えてくるだろう」と述べた。

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