著者 ドルフィンF
大手証券会社出身、バブル崩壊期からトレード業務やIT企業経営を行っており、その後仮想通貨取引所の設立に関わる。ディープラーニングを用いた価格分析手法を確立しトレードで大きな利益をあげる
最近一つ思った事があります。それはやっぱり『罫線屋に金持ちはいない』という事です。これはNYの格言なのですが、チャートに頼り過ぎると近視眼的になってしまうし、ファンダメンタルズ他の重要な要素を見落としてしまいがちになる、といった意味を含んでいます。
私自身、ビットコインに限らず何かのマーケットに参入する場合に重視する事は、
- その銘柄の成長性、社会に与えるインパクトはどの程度か?
- 現在のファンダメンタルズは?
- テクニカル分析(チャート分析)
となります。その銘柄の成長性や社会に与える将来のインパクトに確信を持てなければ短期トレードの場合でも2には進みません(もっとも仕手株のように明らかな異常値を付けている銘柄に関してはタイミングを見て空売りする事もあります。遅かれ早かれその銘柄の実体を現す価格まで下落するからです)。
1に確信を持てたら現在のファンダメンタルズを考察します。この段階ではポジティブ材料ばかりを探すわけではありません。その銘柄の財務諸表、ビットコインの場合であればネットワークパワーや非稼働口座数等々、マクロ経済の状況…等々、これらのファンダメンタルズ的ファクターを把握した上で3のテクニカル分析に進みます。
勘違いされている方が少なくないのですが、テクニカル分析とは将来の予測をするための魔法のツールではありませんし、星の数ほどあるテクニカル的分析手法にそのようなものは一つもなく、本来の目的は今現在の状況を過去の推移と照らし合わせて様々な角度から分析・把握する為のものです。
テクニカル分析においてまず最初にすべき事は、なるべく長期間の価格推移を観察するという事です(日経平均であれば現在の形になったのは1949年5月16日ですが、原型は明治時代初期に遡ります。このデータは永田町の国会図書館で入手可能です。ビットコインの場合は2010年5月22日、「ビットコイン・ピザ・デー」が取引の始まりと言われています)。
なるべく長期間の価格推移を分析、把握しておく事は短期のトレードに於いてでさえもリスクマネジメントを助けてくれます。例えば河の流れをイメージしてみてください。中国の黄河は青海省をその源として渤海に流れ着いているわけですが、その間多くの場所で蛇行していて、蛇行している区域だけを観察しても本来の河流の方向を掴む事はできません。
この事をビットコインや他のマーケットに置き換えてみてください。河の流れの7割の区間は河口に向かっていて3割の区間は蛇行(逆行)しています。長期投資は言うまでもないですが、短期トレードにおいてもそのトレードから出来る限りギャンブル的要素を排除するには、言い換えると勝てる確率を高くするには、河口に向かう方向でトレードを行う方が遥かに簡単だと思われませんか?逆行している区間に乗ったとしても、時間の問題で突然急激に河口方向に流れが変わってしまいます。