著者 DMM Bitcoin マーケットレポート

プロフィール:暗号資産交換業者。DMM Bitcoinなら、豊富な取扱い暗号資産(仮想通貨)種類でお取引が可能です。厳重なセキュリティで、お客様が安心して暗号資産のお取引ができる環境を提供します。最短当日に口座開設可能。(暗号資産交換業 関東財務局長 第00010号、第一種金融商品取引業 関東財務局長(金商)第3189号、加入協会:一般社団法人日本暗号資産取引業協会)

5月にハードフォークを控えるBCH(ビットコインキャッシュ)が低迷している。

BCHの状況は、年初来では約33%上昇と一見好調とも言えそうだが、BTC(ビットコイン)は年初来で40%上昇しており、市場全体の上昇ムードに牽引された結果であると考えられる。

また、ブロックチェーンの仕組みや機能面で似ている暗号資産であるLTC(ライトコイン)は年初来で約71%上昇しており、足元では大きな差をつけられつつある。

ハードフォークが材料視され価格低迷か

上図は、BCHとLTCの2022年以降の価格推移を表したものである。両者はBTCと同様に、ウォレット残高に相当するUTXOモデル(※)やPoWの採用、チェーン稼働年月が長いことなどが特徴としてあげられる。
※UTXO(Unspent Transaction Output):未使用のトランザクションアウトプット

このように類似性があるBCHとLTCは、2022/7頃まではほぼ同じような価格推移をしていたが、それ以降はLTCが上昇基調となる一方でBCHは横ばいの値動きが続いている。

価格乖離が広がっている要因は、2023/5に予定されているBCHのハードフォークとも考えられそうだ。

今回のハードフォークでは「CashTokens」導入によりBCHはスマートコントラクト機能を持つようになり、UTXOのやり取りを目的とした従来の単純な仕組みから大きく発展することになる。

その反面、LTCと共にBTCから派生し誕生したBCHは今回のハードフォークにより、親元のBTCや特徴が似ているLTCとは性質が大きく異なる存在に変化する。

例えば、BTCはシンプルな機能のみに特化し、セキュリティ向上を図るため不要なオペコード(プログラム上での命令コード)は随時削除されている。これは、スマートコントラクト等の高度な機能実装のためオペコードを拡張する暗号資産(ブロックチェーン)とは対照的である。

従って、スマートコントラクトを実装する予定のBCHは、機能面から考えるとETH(イーサリアム)やMATIC(ポリゴン)等に近い存在となるだろう。

2022/7にはBCHの開発者が「CashTokens」の構想についてツイートをしており、これが7月頃からのBCHとLTCの価格乖離の発生時期と重なることは興味深い。

結果として、シンプルな機能性のみを持つ暗号資産がより選好される動きとなったが、それを如実に表したのがFTXショックでの動きであろう。

上図でも記載しているが、2022/11のFTXショック時とその後の価格をみると、BCHがLTCに大きく水を開けられたことがわかる。これは、BCHの将来的なハードフォークを見据えた結果かもしれない。

続きはこちら