前日銀審議委員で、野村総合研究所のエクゼクティブ・エコノミストを務める木内登英氏は、中国のデジタル人民元発行の狙いは、人民元の国際化とブロックチェーン技術での国際覇権の確立にあると主張している。
1月8日に公開されたコラムの中で、木内氏は1月1日に施行された中国の「暗号法」に触れ、ブロックチェーン基盤のデジタル人民元の発行に向けた法整備が進んだと評価する。
中国政府・共産党が暗号技術を管理に置くことを法的に明確にすることが、暗号法の最大の目的だろうと述べる。その上で、10月の習近平国家主席のブロックチェーン推進発言と合わせて理解する必要があると主張する。
「ブロックチェーンを中心に、暗号技術分野で中国が世界の覇権を握るという国家戦略が、暗号法施行の背景にあると見て良いだろう」
中国がいち早くサイバーセキュリティ方を成立させ、データ流通で国際基準を作ろうとしたことを例にとり、中国が暗号でも新たなルール作りを先行させていると分析する。
木内氏は「既に秒読み段階とされる」デジタル人民元発行こそが、「暗号技術に支えらえた一大プロジェクト」と指摘。ブロックチェーン分野での覇権確立を進めていくだろうと予測する。
「人民元の国際化を進めるという大きな狙いがあるが、もう一つの狙いは、ブロックチェーン技術での中国の国際覇権の確立にあると言えるだろう」