9月20日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対する反監視国家法案の審議が米議会下院の金融サービス委員会で行われた。審議ではCBDCに関連する研究の価値、米国市民のプライバシー保護、そして政府の日常生活での役割が議論された。
トム・エマー議員(共和党)がこの法案を提出した。彼は自身の法案を「シンプルだ」と表現し、「バイデン政権下で、米国人の生活を脅かす金融監視ツールの発行を停止する」と述べた。「現金のように設計されていなければ、連邦政府に米国人の取引を監視し制限する能力を与える可能性がある」とエマー氏は主張した。
エマー氏は、法案を紹介する際に中国のデジタル人民元や政府の社会信用システム、2022年にカナダで抗議活動したトラック運転手の銀行口座が凍結された事例を挙げた。エマー氏によれば、この法案は60人の上院議員と数多くの組織から支持を得ている。
下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ議員(民主党)は、この法案を「CBDC反イノベーション法案」と批判した。同氏は、「CBDCの導入がどのように世界の金融風景を形成するかは現時点ではわからない。共和党は存在しないCBDCに対して根拠のない攻撃を行っている」と述べた。同氏は、この法案が通ってしまえば、「中国に中央銀行デジタル通貨の世界基準を策定する権限を与える」と主張した。
スティーブン・リンチ議員(民主党)は法案の文言に一貫性がないと批判する。同じく民主党のブラッド・シャーマン議員も、「これはパイロットプログラムであることを念頭に置くべきだ。誰もデジタル通貨を持つことを強制されない」と語った。
共和党のマイク・フラッド議員は、政府がCBDCによってより権力を得るのではないかと懸念を示した。彼は委員会のメンバーに対して、「最も嫌いな政治家を思い浮かべてみてほしい。そして、その人がリテールCBDCに対して力を持つことを想像してほしい」と提案した。
議員たちは最終的に、連邦準備制度理事会(FRB)が議会の法案なしにCBDCを発行することを防ぐことで合意した。また、両派から国内での金融プライバシーの一般的な欠如も指摘された。
The Financial Services Committee is set to vote on my bill, the CBDC Anti-Surveillance State Act, today. Watch my remarks from the debate: pic.twitter.com/C4S3okdl0w
— Tom Emmer (@GOPMajorityWhip) September 20, 2023
またウォーターズ氏とリンチ氏は、FRBによる中国のデジタル人民元の調査を承認することで、法案の範囲を明確化する修正案を提出した。ウォーターズ氏は、中国、香港、タイ、アラブ首長国連邦間のmBridgeパイロットに言及した。
委員会は午後1時30分に休憩に入り、4時間後に再開された。再開後、委員会は修正案を否決し、法案を可決、27対20の投票で下院全体に送付した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン