分散型金融(DeFi)の注目度が高まっている。

仮想通貨レンディングのコンパウンド(Compound)の独自トークンであるCOMPや分散型ブラウザのBATなどが急騰し、DeFiブームを牽引。ブロックチェーン研究を手がけるメサーリ共同創業者のライアン・セルキス氏はCOMPについて第2のICOになると見ているほどだ。

新しい上場コインなどに注目が集まる分散型金融。その筆頭であるメーカーダオ(MakerDAO)は現在の「ブーム」とも言える動きをどのように捉えているのだろうか。

メーカー財団のJapan Community Leadを務めるキャサリン・チュウ氏はコインテレグラフジャパンに対し、分散型金融はまだ黎明期にあると話した。

「DeFiにロックされている総額が最近急増していることは、確かに注目を集めています。DeFiに注目する人が増えてきていて、このような人々はDeFiエコシステムの重要性にも気づいてきています。DeFiはまだ黎明期にあるので、これから徐々に形になっていくと思います。」

分散型金融は、従来の銀行のような仲介者がいなくても使えることで、現在の金融システムを利用できない人になって大きなメリットをもたらすとされている。しかし、チュウ氏は従来の金融システムが交わることでDeFiが成長すると考える。

「私は、DeFiの真の成長は、DeFiと従来の金融システムが交わる接線で起こると考えています。個人もビジネスも、ブロックチェーンが可能にしているアクセスの良さ、効率性、そして透明性の恩恵を日常的に受けられるべきです。ブロックチェーンの進歩が、消費者向け商品が持つ使いやすさやユーザーからの信頼と一致した世界を想像してみてください。または、現実世界の資産がブロックチェーン上で利用できる世界を思い描いてみてください。この交差点こそが、DeFiの急成長が見られる場所です」

メーカー財団がこうしたDeFiの成長のために、包括的な金融サービスへのアクセス提供として、最近行ったのが「Dai好物キャンペーン」だ。コロナ禍で飲食店の経営が悪化する中で、経営者をサポートする取り組みとして行われた。

このキャンペーンの狙いについて、「私や皆さんを含め地球上のほとんどの人にとって、今年は大変な年です。私はこのような時こそ、人々を団結させ変化を起こしたいと思っています。」と話すとともに、分散型金融の普及によって公平な経済の仕組みを作る狙いがあったと明かした。

「Daiは公平な暗号通貨であり、Makerの目標は誰でもDaiを使えるようにし、包括的な金融サービスや経済的機会にアクセスできるようにすることです。飲食店へのサポートを示すことに加え、いかに簡単に価値の移行ができるのかを皆さんに体験してもらいたかったです。多様なDeFiプロトコル上でどれだけ利益を得られるかに注目してしまう傾向にある人が多いようです。それ自体は素晴らしいイノベーションです。しかし同時に、Daiにはその他たくさんの使用方法が存在します。寄付や送付、価値の保存などもDaiの優れたユースケースです。」