デューン・アナリティクスのデータによると、9月に分散型取引所(DEX)であるユニスワップは153億7100万ドルのボリュームを処理したことがわかった。同期間では、仮想通貨(暗号資産)取引所コインベースが136億ドルの取引を処理したとされている。

Monthly decentralized exchange volume. Source: Dune Analytics

出典:デューンアナリティクス「毎月の分散型取引所の取引量」)

ユニスワップの取引量が大幅に急増したのは、大きく2つの要因が考えられる。第1に、分散型金融(DeFi)の成長とガバナンストークンのイールドファーミングが爆発的に成長したこと。第2に、ユニスワップのガバナンストークン「UNI」の発売により、プラットフォーム上での熱狂が起きたことだ。

DeFiのガバナンストークンの熱狂は6月に始まった。当時はコンパウンドのCOMPトークンが急騰した。

プロセスは比較的シンプルだ。DeFiユーザーは、イーサ(ETH)などの様々な仮想通貨をステークすることで、新しいガバナンス・トークンを「獲得する(ファーム)」する。DeFiプロトコルは、時間をかけてステークしたユーザーにガバナンス・トークン配布する。

ひとたび、ユーザーが新しいトークンをファームすると、通常、中央集権的な取引所で売却できるようになるまで保持するが、トークンの時価総額が低すぎることもある。

仮想通貨取引所は、トークンを上場する前に様々な要素を考慮しなければならない。その基準には、流動性や実績、開発者の活動などがある。新しいガバナンストークンやDeFi関連の仮想通貨の場合、これらの要件を満たすことはほぼ不可能だ。

そのため、ユニスワップはDeFiトークンを取引するためのプラットフォームへと進化し、DeFiにロックされている合計金額が急増するにつれて、ユニスワップの取引量が増加した。

DEXの取引量は一過性のものか?

ユニスワップが1日の取引量でコインベースプロを初めて上回ったのは8月30日だった。それ以来、米国最大の仮想通貨取引所であるコインベースとの競争を継続的に続けている。8月下旬、ユニスワップの作成者であるヘイデン・アダムス氏は次のように述べていた

「ワオ!ユニスワップの24時間取引量が史上初目てコインベースを上回った。ユニスワップは$4億2600万ドルでコインベースは3億4800万ドルだ。これがどれほどクレイジーなのかを表現するのは難しい」

ユニスワップでの高い取引量は、イールドファーミングの急減速とガバナンストークンの流行にもかかわらず発生した。このことは、分散型取引所が高い取引量を維持できることが、長期的に可能であることを示唆している。

Decentralized exchange active users. Source: Digital Assets Data

(出典:デジタルアセットデータ「分散型取引所のアクティブユーザー」)

ここ数週間でDeFiトークンの価格が下落し、イールドファーミングでのユーザー活動が現象したが、デューン・アナリティクスのリサーチャーはこれを弱気のシグナルとは捉えていないようだ。

「イールドファーミングブームが沈静化したにもかかわらず、DEXの取引量は9月に過去最高記録を更新した。8月から100%増加して240億ドルが取引された。最近数週間は月初に比べて減少したものの、9月の全ての週は8月のピーク週を大きく上回った。」

Ethhub創設者のアンソニー・サッサーノ氏などイーサリアムのアナリストは、こうした状況について、投資家がイーサリアムに対して持つ、圧倒的にポジティブなセンチメントを反映していると述べている。

「イーサリアム上の分散型取引所は流行だと言われていたが、それは信じられないほど間違っていた。DEXは9月だけで235億ドル相当の取引高を記録した。イーサリアムに反対することは、これまでも、そしてこれからも常に悪手だ。」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン