共産主義国家キューバで、仮想通貨ビットコインが流行し始めている。キューバでは米国による経済制裁のためクレジットカードなどが存在しないが、仮想通貨によってオンラインショッピングや投資、国際送金を行うことが可能になっている。

米大手メディアUSニューズが12日、キューバの仮想通貨事情をレポートした。

キューバは長年、米国による経済制裁によって国際決済システムから切り離されてしまっている。つまり、クレジットカードやデビットカードを市民が取得することがほぼ無理な状況ということだ。そのためオンラインでの何か買うこともできない。

仮想通貨が「新たな扉開く」

そこで脚光を浴びているのが、ビットコインだ。キューバでスマホが普及したことで、ビットコインを使ったオンラインショッピングが普及しているという。

USニューズは、現地の市民がキューバで入手できない携帯のスペア部品をオンラインで購入できるようになった事例を紹介している。部品を購入した市民は仮想通貨が「新たな扉を開く」と語った。

テレグラムでキューバ人の仮想通貨コミュニティ「キューバ・クリプト」を作ったアレックス・ソブリーノ氏は、およそ1000人のキューバ人が日常的に仮想通貨を使っていると推測している。

「仮想通貨を使って携帯電話の料金を払い、オンラインで買い物をしている。中にはホテルの部屋を予約する人もいる」

キューバの仮想通貨取引所

レポートの中では、キューバの仮想通貨取引所「Fusyona」が登場する。Fusyonaでは、仮想通貨を使った送金や9種類の仮想通貨への投資などができる。約1300人のユーザーがいるという。

Fusyona創業者のエイドリアン・レオン氏は、仮想通貨がキューバ人にとっての唯一の選択肢だと強調する。

「外国人にとって、仮想通貨は単なる別の選択肢でしかない。しかし、グローバルな金融コミュニティから排除されているキューバ人にとって、それは必要であり、解決策なのだ」

ただキューバにおいては、仮想通貨の法的位置づけはグレーだ。レポートの中では、ハバナ大学の研究者は「この問題に関する法律は存在しない」と指摘する。

キューバ政府自身も仮想通貨の活用を検討している。今年7月キューバ政府関係者は、米経済制裁を回避するため、仮想通貨を研究することを明らかにしている。

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